40話
タンザナイト・フォン・イープルシア。
彼には同じ歳の兄弟がいる。
アメトリン・フォン・イープルシア。
出来のいい兄である。
なんでもできて、周りからも期待される。
そんな出来のいい双子兄なのだ。
王室の物は民のもの。
民は王室の宝だと誰かが言っていた。
もう覚えていないが。
貴族は王室の為に。
王室は貴族を持ち上げ民の代表として優遇している。
だからか、民はいつしか貴族の家畜に成り下がって
いたのだった。
どこに行っても貴族がでかい顔をして大手を振って
いるのだ。
アメトリンはそんな王室のあり方に疑問を持った事
はないのだろうか?
そんなおり、見つけた一人の少年。
彼はタンザナイトを見て笑いかけてくれた。
「ルベライト、今日から私のそばにいろ。絶対に
後悔はさせない」
「はい、タンザナイト殿下」
あの時、彼を見つけたのは自分だ。
そう思っていた。
なのに、今ではアメトリンの側近騎士とも仲良く
なった挙句、アメトリンにも毎回お茶会と称して
誘われている。
身分の高い自分達の誘いを断る貴族はいない。
断ることは不敬罪として罰する事もできるから
だった。
それでも、彼は自分のそばにいるのが一番輝いて
いる。
ーーーーそう思っていた。
が、最近はわざと避けている気さえする。
そして今日やっと二人きりになれたというのに…。
「私が嫌いか?ルベライト」
「そのような事は。ですが俺は……僕の家がアメト
リン殿下を推している以上タンザナイト殿下の側
にいると、きっと迷惑になるかと……」
「そのような事はない。私の側を離れないと言った
ではないか!約束を違える気か?」
「それは………」
言い淀むルベライトだったが、ほのかに照れて見える。
タンザナイトが間近に顔を寄せて迫ると困った顔をみ
せながらも頬を染めた。
「……あの………近いです、殿下」
「わざとだ。近ければ顔色を窺わなくていいだろう?」
こういう時は大胆な人なのだ。
タンザナイトはどうしてもルベライトを手放すつも
りはなかった。
アメトリンにさえも渡したくはなかった。
「少し……一人にしてください」
「だが……」
「あの……まだ身体が、辛いのです」
「あ……すまない、それではゆっくりしてくれ」
そう言い残すとタンザナイトはアレキを連れて部屋を
出た。
あのまま二人でいたらどうなっていたのだろう。
最近のルベライトにはとにかくドキドキするのだった。
前までだったら、そばにいるのが当たり前で、気づく
とすぐ側にいた存在だった。
だから探す必要もなかった。
だが、最近はどうだろう。
探さないと見つからない。
探しても、見つけた時にはすぐ側に見知らぬ誰かが
いた。
最近は平民とつるんでいるという。
ちょっと自分に嫉妬させようと使った見目のいい
平民。
だが、それをきっかけにルベライトが仲良くなる
とは考えても見なかった。
平民を見下す傾向にあったルベライトが……。
「このままではダメだな……私だけを見てくれ
ないと」
タンザナイトは独り言を呟くとその場をそっと離
れたのだった。




