35話
次の日は準決勝と決勝が行われるとあってか、会場
は熱気に包まれたのだった。
観覧席には高位貴族や王族が見に来ている。
「父上も……あ、いた……」
「なんだ?ルベライト、父親にいいところを見せたい
のか?」
「その逆ですよ。見せたくないんです。俺は出来損な
いの邪魔者なので」
「そんな事はないだろう?それに…昨日はありがとう。
あいつらを助けてくれたんだってな」
インディゴライト・ノースという人物はただの堅物かと
思ったが、ちゃんと素直に礼が言えるのだと知った。
「ん?なんだその顔は……今、何を考えていた?」
「いえ、何も…」
「今日も気を引き締めて行けよ」
「はいはい。では、瞬殺させてシトリンとデートでも
してこようかな〜」
ルベライトは冗談混じりに舞台に上がったのだった。
相手は3年の首席の騎士科の生徒に3年の首席の魔法科
の生徒だった。
「向こうはどっちも首席だぞ?」
「何を言ってるんですか?こっちは2年の首席騎士様と
これでも1年の次席の魔法科生徒ですよ?」
「負ける気はしないな」
「でしょう?」
ルベライトはニヤリと笑うと合図の前に魔力を練る。
開始の合図とともに一気に水の魔法を練り上げた分
を思いっきりぶつけたつもりだった。
だが、練り上げた魔力がいつもより大きかったのか
細かい水の粒子ではなく大きな球体となって降り注
いでいた。
バケツをひっくり返したような状態が降り注いだの
だった。
息を吸うことすら忘れたかのように、相手は一瞬息
が詰まる。
地面に流れると思った水は敵の身体に膜をはるよう
にとどまった。
「んん!!」
「んーーー!!」
「あ、これで終わりそう?」
「おい、自分だけで見せ場をとるな!」
「すいません。なんか……あ、降参っぽいですね」
一瞬で決着がついたのだった。
見せ場すらない。
騎士科の前衛に魔法科の後衛の連携を見せる場だっ
たのだが、これではもう戦闘ではなかった。
「あれ?でも、なんで……まさかっ!」
「どうした?」
「いえ、マジでか………」
ルベライトは隣にいるインディゴライトの頭上をみ
て愕然とした。
先ほどの魔法があそこまで大きい理由が理解できて
しまったのだ。
インディゴライトの頭上に出ている好感度マックス
の文字がさっきの魔法の原因だった。
二人目の好感度マックス。
これによって使える魔力量が増えて風魔法も追加さ
れたと言うわけだった。
風魔法は他の魔法の補助的な役目をする。
威力増加や、強化補助などだ。
これでは決勝が苦労しそうだと頭を悩ませる事にな
った。
なぜなら、手加減しながらというのも骨が折れるか
らだった。




