31話
正式なお茶会ではない為、制服のまま参加したルベラ
イトとシトリンを待っていたのは、笑顔いっぱいの
アメトリンと、その横で不機嫌そうなタンザナイト。
二人の横に控えているインディゴライト・ノースと、
アレキ・サンドライトだった。
「さぁ、座ってくれ」
「ご招待ありがとうございます。隣のお二人方のお席
はないのですか?」
「気になるかい?」
「……はい。シトリンが気にしてしまいますので」
言い方というのは大事だった。
平民が座っているのに、子爵家の者が座らず立った
ままなのはおかしいと指摘したのだ。
「そうだね。君たちにも席を用意しよう」
そう言うと、奥からメイドが椅子をふた席用意した
のだった。
「そういえば、君たちは首席と次席らしいじゃな
いか。すごいね、そこで魔法祭でその力を見せて
見る気はないかい?」
アメトリンの言い分は理解している。
下手な奴に未来の王宮補佐官の地位を与えるのを
防ぐ為だと言いたいのだろう。
だが、これはあくまで一年としての筆記試験の成績
なのだ。
実技となれば2年や3年に勝つのは厳しいと言える
だろう。
ましてや騎士科の人間に知り合いなどいないのだ。
「ありがたい申し出ですが、辞退させてください
魔法科と騎士科の両名での決闘と聞き及んでお
ります。騎士科には知り合いもおりませんし…」
「僕も、攻撃魔法は苦手なので……」
確かに、実技の成績もいいが、シトリンは攻撃に
関する魔法がどうしても使えない。
全く使えないわけではないが、本人が使いたくな
いというのが本音だろう。
ルベライトはというと、土魔法で通しているのに
最近は好感度が高いせいか水魔法が得意になって
しまったせいでそれを兄も観に来る場所で使うわ
けには行かないからという理由があった。
タンザナイトは知っているが、実はルベライトは
闇魔法が得意だった。
人前で使おうものなら投獄されかねない魔法でも
あった。
この事は身内とタンザナイトしか知らないのだった。
「アメトリン。無理を通すな。嫌がっているのなら
無理に出さなくてもいいだろう」
「君は、ルベライトやシトリンに国の中枢で将来
働いて貰いたいって思わないの?」
「それは………いつか私の側にいれば…それで…」
一瞬耳を疑う言葉を聞いた気がする。
タンザナイトがルベライトをうざがっていたと思っ
ていたがそうではないのだろうか?
こうして、準備期間が過ぎて魔法祭当日を迎えた
のだった。
その間も、ルベライトは魔法祭のエントリーした
人の名前を毎日のようにチェックしていた。
「よし、今日も大丈夫そうだな」
「ルベライト君、クラスで集まるって」
「あぁ、すぐに行くよ」
魔法祭の目玉である主従トーナメントのエントリー
が打ち切られるとアカデミー中に聞こえるほどの
鐘の音が響き渡った。
ルベライトは安心するように、シトリンの名前が
なかった事にホッとしていたのだった。
物語りの中ではここでシトリンがエントリーされて
いる事に気付き、急遽アメトリンからインディゴラ
イト子爵を貸してもらい優勝するのだ。
そしてこれを機にインディゴライトとの仲が深ま
るのだ。
それ以外にも、ここでは重要なイベントが発生する。
それがインディゴライトの母方の妹の子供達がアカ
デミーにきていた。
男爵位のせいか服も少し古めかしいせいで上級貴族
の子息に虐められるのだ。
それをシトリンが助けた事で、より連携の取れた
戦いになっていくのである。
「もったいなかったかな〜。シトリンの戦闘シーン
観たかったかも」
「ルベライト君?僕、戦わないよ?それに戦えない
の知ってるでしょ?」
「あ〜〜〜、そうだったな。はははっ……」
今日はのんびりとお祭り騒ぎを見ているだけですみ
そうだった。




