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3話

双子の皇子のうち、第一皇子にはインディゴライト・

ノース子爵が側近についている。

彼は文武両道で第一皇子のアメトリン・フォン・イー

プルシアと同学年であった。

騎士科に所属しており、父親は王国騎士団長を務めて

いる。


変わって、第二皇子の方にはアレキ・サンドライト子爵

が側近候補として控えている。

彼は騎士科に所属しており、インディゴライトの次に

優秀だった。

二人はいつも同学年で競っているのだった。

だが、第二皇子のタンザナイト・フォン・イープルシア

自身がいまだ側近として認めていないので正式にはまだ、

確定してはいないのだった。


タンザナイトは幼馴染みであるルベライトをよく側に

おいている。

同じ子爵位を持つ者で、学年は一つ下になる。


しかし、ルベライトは学年2位の成績の持ち主でタン

ザナイトに対して絶対の忠誠を誓っていたのだった。


今日は新入生を歓迎する意味が込められた立食パー

ティーだ。

音楽が鳴れば、中央のダンススペースに男女が手を

取り合いダンスを披露する。

先輩達が先に踊り、そして新入生が続いて踊るのだ。


「タンザナイト殿下、右手奥にシトリンがおります」

「よく見つけたな。さぁ、行こうか」


そういうと、タンザナイトは動き出した。

見た目だけでも第一皇子と変わらぬくらいに美しす

ぎるせいか、動けば注目に的になってしまっていた。

そんな彼が向かった先には、先ほどの青髪の青年が

ひっそり立っていた。


「また会ったな。……ふむ、衣装が派手すぎて気後れ

 しているな。少しは可愛げが出るように笑ったらど

 うかね?」

「えっ……あ、あの……この服を送ってくれたのって」

「不釣り合いだったな。よく着てこれたものだ」

「あ………」


タンザナイトの言葉に、シトリンは言葉が詰まる。

ただ、自分が場違いな場所にいるようで俯いてし

まう。


「何を呆けているのだ?」

「え……あ……あの……何が……」

「今からダンスが始まるのだぞ?私に恥をかかせる

 気か?」


タンザナイトは手を出すと、早く取れと言いたげだ。

だが、平民のシリトンにはダンスなんて踊れるはず

もなく、ましてや皇子殿下の手を取るなどそんな事

は出来るはずもなかった。


「すみません……僕、踊れないんです」

「痴れ者が……私に恥をかかせるのか!」

「………」


いかにも泣き出しそうな顔をすると一歩後ろに下がる。

平民のシトリンには全てが初めてで、マナーもわから

ない。


目上の者が手を出したらどう対応して良いかすら分

からなかったのだ。


「殿下、こちらのお嬢様がダンスのお相手をと…」


ルベライトは即座に一番身分の高い令嬢の手を取っ

て殿下へと引き合わせた。


平民のシトリンが殿下の手を取るとは、初めから思

ってはいなかったからだ。


ダンスホールへ殿下を見送ると、シトリンに声を

かけたのだった。


「平民のくせに何度殿下に恥をかかせるつもりだ?」

「別に……僕はそんな事は……」

「その態度が気に食わないんだっ!平民ごときが

 首席で入学だと?場をわきまえるんだな……」


ルベライトはシトリンの腕を掴むと廊下へと引きず

っていく。

そして思いっきり突き飛ばしたのだった。


「痛い目でもあえばいいんだ……」


ルベライトは呪文を唱えると手の中に真っ黒な魔力

が渦巻く。

そして目の前に尻餅をついたままのシトリンの方へ

と放ったのだった。


ブワッと真っ赤な炎が上がるとシトリンを護るかの

ように包み込んだ。

一瞬何が起きたのかと驚くがそれはすぐに理解できた。


「おい、お前……リンに何してる?」


怒りを露わにした一人の先輩が近づいてきた。

彼はインペリアルト・パーズだった。

位は伯爵なので子爵であるルベライトより上の身分

を持っている。


身分は親のなので子供には関係無さそうではあった

が、貴族の中では親の身分は大きく関係していた。


「これは、パーズ伯爵ダンスホールで楽しんでいる

 時間では?」

「リンを探していたらこんなところで絡まれている 

 とはな……ルベライト・ファールマン!どうして

 リンに絡む?」

「鬱陶しい人ですね。殿下に媚を売っておいて、今

 度は伯爵ですか……見苦しいですよ」

「何を言って……これ以上リンに手を出すなら許さ

 ないぞ?」


真っ赤な瞳には怒りを宿し全身からは魔力が漏れ出

していた。


再び、ルベライトが魔力を放とうとしたのを見ると、

先に廊下一面に炎が上がったのだった。


「うわっぁぁぁーーー!」

(熱い、熱い、あつい、痛い、いたいっ……)


真っ赤に染まる視界に全身が焼け付く痛み。

意識が消える瞬間、会場から駆けつけてくる騎士達

が見えたのだった。



 

     ♦︎♦︎♦︎




ベッドの上で目が覚めると、全身に寒気が走った。


ルベライトは飛び起きると顔を手で覆った。

今も震えが止まらない。


必死に抑えようにも、全身が焼け付く痛みを覚えて

いるからだった。


「俺はどうして………」


しゃがれた声に違和感を覚える。


「誰だ、この声は………??」


そっと手を離すと、ゆっくり起き上がる。

周りを確認して誰もいない事にホッとし、鏡を探す。


大きな姿見を見つけるとそっと歩き出す。


床はふかふかの絨毯が敷かれ裸足で歩いても冷たく

なかった。

ちょうど姿見の前で立ち止まると覗き込む。


「誰だ……これは……」


そこに映る姿がまだ幼く、黒目黒髪の活発的な青年

がこちらを眺めていた。









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