2話
今年から平民も混ざった王立ジュエリーアカデミー
の入学式が執り行われた。
ルベライト・ファールマンは子爵の出だった。
15歳にして成績も上位で入学した。
それもこれも、この国の第二皇子であるタンザナイト
の側近として認めてもらいたくて必死に努力を重ねた
結果だった。
「おい、ルベライト。あの壇上に上がっている青髪
のはなんという名だ?」
「あれはですね。今年の新入生のシトリンだそうで
す。全教科満点で僕のすぐ上の今年の首席…です」
「ほう、ルベライトよりもか?興味が出たな……後で
呼び出せ」
「ですが彼は……」
「私のいうことが聞けないのか?」
「いえ、そういうわけでは……分かりました。式が
終わったら……お待ちください」
タンザナイトは面白い者を見つけたと口元を緩める。
ルベライトは気が気ではなかった。
首席合格して、本来なら自分が立つべき壇上に今立
っているのはたかが平民なのだから。
ルベライトは式が終わった後、シトリンを呼び出した
のだった。
「ここで待っていろ。お前に会いたいという方がい
るんだ」
言うだけで言って、タンザナイトの待っている場所
へと向かわせたのだった。
タンザナイトの言葉に従おうとしない平民のシトリ
ンは本当に気にいらない。
ルベライトにとっては、シトリンの存在は邪魔でし
かないのだ。
「この平民風情が!タンザナイト殿下のお心遣い
を無碍にするとは…」
ルベライトはシトリンを平手打ちをすると、タン
ザナイトの後を追うようについていく。
「ルベライト、さっきのシトリンの部屋に今日の
衣装を送っておけ」
「はい?」
「聞こえなかったのか?あの平民では服の一枚も
買えまい。銀糸のこの前手配したやつを持って
行けと言っているんだが?」
「いえ、すぐに渡してきます」
慌ててブティックへと行くと仕上がったばかりの
所々に銀糸を使った正装服をシトリンの部屋へと
届けさせたのだった。
それはつい先日にあつらえさせたばかりの服だった。
ルベライトはいつも、第二皇子であるタンザナイト
の側近のつもりでいた。
だから衣服もタンザナイトの髪色に合わせた銀糸
を織り込んだ服を仕立て屋に頼んだのだ。
それをまさか平民に譲れと言われるとは思いもしな
かった。
(あの平民ごときが………銀糸の服など………)
イライラとする気持ちを落ち着かせながら寮の部屋
に戻ると余分に作らせておいた正装に着替えた。
♦︎♦︎♦︎
夜になると、アカデミーの大ホールは煌びやかな魔
法の照明に包まれると、魅惑的な色合いを見せた。
「これは………実に美しい。まるで殿下の魅惑的な
美しさを引き立てるかのような魔法です」
「世辞はいい。あれはどうした?」
「シトリンなら先ほど到着したようです」
「ルベライト、お前の服を取るようで悪かったな」
「いえ、タンザナイト殿下に喜んでもらえるのなら
僕はなんでも差し出しましょう」
「ふん………私の未来の側近としてはいい心がけだ」
「ありがとうございます。必ずや殿下の期待に応え
てみせましょう」
ルベライトはタンザナイトの前に膝をつくと忠誠を
誓ったのだった。




