1話
金髪の綺麗な40後半くらいの男性の横にはまだ年若い
青年が両サイドになっている。
金髪の爽やかな笑顔を向ける青年はこの国を代表する
王族の一人。
アメトリン・フォン・イープルシア16歳だ。
その反対に立つのはこれまた美しい顔立ちの銀髪の青
年で、髪は肩まで伸ばしているが手入れされているせ
いか、なびくたびに輝いて見える。
彼はだタンザナイト・フォン・イープルシア16歳だ。
双子として生まれた彼らはいつも競いあってきた。
そして、去年より王立ジュエリーアカデミーへと
通っている。
貴族は皆、この王立ジュエリーアカデミーに通う事を
義務付けられている。
が、今年から平民も試験的に通えるようになったのだ
という。
貴族だけの学校はどうしても規律が厳しく、身分はな
いと言われても、誰に媚びた方が将来性があるなど、
打算的な考えで行動してしまうのだった。
それを正す為にと、平民も今年から入れて、本当に
『皆平等の学校』を目指すようにと国王直々の考えだ
という。
今年から入ったばかりの一年生は、上級生を模範とし
差別のない、平穏な学校生活を送るはず……だった。
「おい、そこのお前。この後ついて来い」
「あの、すいません。このあとは予定があって……」
「私の誘いを無視するのか?どこの家の者だ?」
「家ですか?えーっと、僕は平民なのでどこと言われ
ても困ります。あの、先輩ですよね?僕は今年入っ
たばかりのシトリンと言います。よろしくお願いし
ま……」
言い切らぬうちに平手がシトリンの頬を打った。
「平民がタンザナイト様に口答えするなっ!」
機嫌を悪くした銀髪の青年の横から出てきた黒髪の青年
は平民の頬を叩くと厳しく言った。
「タンザナイト殿下、このような平民は捨て置き此度の
祝賀会の用意をなさいませんと」
「そうだったな……」
そう呟くと立ち去っていく。
頬を抑えながら立ち上がるシトリンに遠くから赤髪の
青年が駆け寄ったのだった。
「リン、大丈夫か?」
「うん……ちょっとびっくりしちゃった…」
青い瞳に青い髪の青年は頬を撫でながらヒリヒリする
箇所を何度も撫でた。
心配そうに見つめるのは騎士科の幼馴染みのインペリ
アルト・パーズだった。
髪は燃えるような赤で、瞳も紅く体格もいい。
毎日身体を鍛えているせいか腕力は誰にも負けない
自信があった。
「さっきのはあれだろ?タンザナイト殿下だろ?」
「そうなの?知らなかった……先輩だよね?」
「あぁ、できれば近づかないようにするんだ。あいつ
は気に入った人が出来るとしつこく追い回して飽き
るとポイっとすぐに捨てるような奴なんだ。そんな
奴がどうしてリンに……」
「大丈夫だよ、僕は平気だから」
「平気じゃねーよ。こんな真っ赤になって……」
心配性の幼馴染みに心配されながらシトリンは帰って
いく。
今日の夜は新しい新入生を歓迎してアカデミーの大ホ
ールにて式典が催される事になっていた。
だが、平民のシリトンは制服以外の服を持っていない。
寮に帰ってみると、何故か大きな小包を手渡されたの
だった。
「これ、シトリン当てだってさ」
「僕宛て?誰からだろう?」
そう思い包みを開けるとそこには清楚な落ち着きのあ
るタキシードが入っていた。
ところどころ銀色の刺繍が入っており、送り主の名前
は書かれていなかった。
「誰からだろう?アルトかな?だったらさっき言って
くれればよかったのに」
そう呟くと身体を拭いてから着替えたのだった。




