27話
『薬草学と簡単な錬金術』
と言う授業はポーションの作成を主な授業目的
としていた。
水属性のシトリンには得意な分野でもあった。
下町育ちの平民であったシトリンの父親は薬師
でもあったからだ。
家には薬草に関する本がいくつもあったのだと
話していた。
「僕ね、こう言うのはすっごく好きなんだ〜」
そういうと、先生が出した課題である麻痺を治す
ポーションを迷う事なくテキパキと作ったのだ
った。
こういう事は、水属性が一番得意とする分野でも
ある。
なぜならば、つくられた水には魔力が多く含まれ
ており、井戸から組まれた水を使ったチームは、
ポーション性能が格段に低いからだ。
「俺も水属性の魔力が使えたらな〜」
ルベライトはぼやきながら器に触れると手の中か
ら魔法陣が浮かび青い光が出た。
目の前で溢れる水に驚きながらその水でポーション
を作ると予想外の性能になっていたのだった。
「マジでか……水属性が使えたって…どうしてだ?」
ふと、気づくとシトリンの頭の上に好感度ゲージが
出ているように見えた。
「これって好感度ゲージだよなぁ〜…………」
見れば見るほど不思議だった。
マックスに振り切っている好感度を見て、物語り
の主人公が全属性の魔法が使えた理由が、好感度
によるものが大きい事を思い出した。
シトリンが様々な人と仲良くなって好感度マックス
で相手の力を使うことが出来ていたのだ。
ならば、ルベライトも同じように好感度がMAXで
魔法を使えるという事が実証できた事になるのだ。
ルベライトはふと思い返すと、周りの人間を振り返
った。
今、好感度が見えるのはシトリンだけだったのだ。
「もしかすると……他の攻略対象も?」
「ルベライト君、どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
教壇の上から先生が睨んでいる。
すぐに手元にある薬草をすりつぶして水を生成し
抽出する。
手元に出来たのは『気付け薬』となった。
痺れや、麻痺、眠りなどから瞬時に回復させる効
果をもつポーションの出来上がりだった。
「ルベライト君もこれで合格だね」
「あぁ………そうだな」
失敗した人の手元にはどす黒い何かが出来るら
しい。
半数の生徒の手には真っ黒な瓶があった。
「そこまで!では出来たものに名前を書いて提出
する事。講義中はおしゃべりに夢中になってい
ると危険なので、真剣に取り組む事。以上よ」
チラリとルベライトの方を見てきたあたり、何が
言いたいのか理解した。
今日の授業が終わると、一年生は寮に帰るか所属
する活動場へと向かう。
いつもならこの時間にはタンザナイトを探して2年
の教室へと向かうか魔法生物の飼育小屋へと向かう。
タンザナイトはたまにワイバーンに乗って空の散歩
をするのが好きだったからだ。
同じ魔法生物の飼育だが、アメトリンの方は魔法生
物が人体に及ぼす論理を解き明かすのだと色々と試
しているそうだ。
その一つがこの前のスライム実験だった。
ヒーリングポーションを与え続けたスライムが自ら
癒しの魔力を帯びてどんな傷も治すようになるとい
う実験にルベライトは使われたのだった。
「すいませーん……」
「あ、ルベライトくんじゃないか。僕に会いに来た
んだね?君ならいつでも歓迎さ」
「いえ、そういうわけでは…。この前はありがとう
ございました。お礼もしっかり言えなかったので」
ルベライトはアメトリンへ感謝を述べるとシトリン
とともに帰ろうとした。
「ちょっと待ってくれないか?今から面白い実験を
やるから君たちも見ていかないかい?」
「面白い……実験?」
シトリンの方は興味があるようだった。
何せこの国の皇子が呼び止めたのだ、無碍には出来
ない。
「見ていってもいいのですか?」
「シトリンが興味がありそうなのでお邪魔します」
「そうでないとね。ここに座ってて」
アメトリンが自分にいちばん近い席をすすめてき
たのだった。




