26話
それは驚くのも無理はないだろう。
タンザナイトも調べていた事なのだから。
アメトリンといつも比べられるせいか、タンザナイト
は特に、事件解決には力を入れていた。
が、その犯人や動機などをアメトリンは先に見つけて
いたのだ。
どうしようもない焦燥感に身を震わせた。
「タンザナイト殿下………」
「君は知っていたのだろう?ルベライト君」
「………別に知っていたわけでは…」
「なら。現役の大臣を追い落とすにはこの事件はいい
機会だとは思わないかな?」
「………」
現役の大臣はタンザナイト派の貴族だった。
アメトリンの言い方は派閥の中核を崩すと言っている
ようなものだった。
「まぁいい、近いうちに罪に問う事だろう。タンザ
ナイト今のうちに身の振り方を考えておくといい」
それだけ言うと、アメトリンは帰っていく。
「またあいつは私の邪魔を……」
「……」
そんなタンザナイトのコンプレックスを知っている
だけに、ルベライトは悩んだ結果、口を開いた。
「タンザナイト殿下、今すぐに大臣をお切り下さい」
「お前も何を言っているんだ?」
「それは殿下の方です。大臣が何をしたか知っている
のですか?橋を落としただけではないのです。隣国
と通じている可能性があるのです。それだけではあ
りません。橋が落ちて得するのはだれですか?」
「そんな者は……」
「代わりに渡れる場所は?」
「下流にもう一つ大きな橋があったはずだが…?」
「そうです。ですが、そこでは通行料を取るそうです」
「なぜだ?そんな事をしたら商人達は民にいらぬ税を
かけるだろう?はっ……、では。まさか………」
「そうです。私腹を肥やす為に隣国と通じてやった事
なのです。咎めるのがアメトリン殿下ならどうなり
ますか?」
「手柄を取られた挙句、私の立場も………アレキ!
いるか?すぐに出る」
ルベライトに見送られながらタンザナイトは城に
向かったのだった。
忙しなく月日が流れる中、大臣の裏切りを見つけ
た功績と隣国の内通者の件を解決したとしてタン
ザナイトは評価を高めたのだった。
それは、アメトリン殿下が受けるはずの評価だった。
「どうして譲ったのだろう………」
「それは君がタンザナイトに話したからだろう?」
「うわっ!……アメトリン殿下!」
「やぁ、またあったね」
アメトリン殿下は横にインディゴライト・ノースを
連れてルベライトを見下ろしていたのだった。
「どうしてここに?」
「君に会いたくてね。やっぱり、僕は君が欲しいと
思っているよ。兄のコーラルだったかな。彼より
君を僕の参謀にとファールマン家に言ってみよう
かな〜」
「やめてください。そんな事したら兄に殺されます」
「それはもったいない。僕が君を貰い受ける事にし
ようか」
「ご冗談を……」
ルベライトはアメトリンの冗談に付き合っていられな
いと移動しようとした。
すると、そこにシトリンが走ってきていた。
「ルベライト君、ここにいたんだね!探したよ。午後
の授業の教室が変わったんだって」
「そうか、教えてくれてありがとう、シトリン」
「うん、見つかってよかったぁ〜、一緒に行こう」
「あぁ、そうだな。では、アメトリン殿下、これで
失礼します」
シトリンを口実にその場を離れたのだった。
本当なら、シトリンに興味を示すはずのアメトリン
はルベライトばかり気にして全くシトリンには見向
きもしないのだった。
「これは不味くないか?…………う〜ん」
「ルベライト君、どうかしたの?」
「シトリンってさ、タンザナイト殿下やアメトリン
殿下と下町とか行ったか?」
「王族の方達と?行くわけないよ。だって、僕は
平民だよ?誰も好き好んで話かけてくれないよ。
あ、でも、ルベライト君は別だよ?」
「あぁ、そうだったな……」
言われてみればそうだった。
王族に平民が気安く話かけていいはずがないの
だった。
王族から話しかけるのは許されれいるがその逆は
許されない。
一応アカデミー内は貴族社会と同じ構造になって
いるのだ。
いくら身分なく学べる場所といっても、王族は別
なのだった。




