22話
シトリンが目を覚ましてから、いの一番に聞いて
きた事がルベライトの心配だった。
「リン、お前はあいつに騙されてるんだ。リン
を襲わせたのも、あいつかもしれないだろ?」
「そんな事ないよ。もしそうなら……わざわざ怪我
してまで僕を護るわけないじゃん」
「それは……」
インペリアルトは悔しげにシトリンを見つめた。
もし、シトリンの言う事が正しかったら?
それは彼がルベライトを見捨てて危険な森に置き去
りにした事になるからだった。
「だが……俺はまだあいつを信用できない…」
「なら、僕を信じて?僕は彼が悪い人には思えな
いんだよ。ね?」
シトリンに上目遣いに言われると、インペリアルト
は逆らえないのだった。
「分かった、探しにいく……だからお前はここで待
って」
「僕も行くよ。もう怪我もだいぶいいし。歩けるか
ら連れていって…」
シトリンは昔から言い出したら聞かない頑固さが
あった。
人の為になるならなんでもやったし、常に他人の
事を思いやれる優しい子なのだ。
だが逆を言えば、危なくても引かないので無鉄砲
とも取れる。
彼の長所でもあり、短所でもある。
「言ってもついてくるんだろ?なら、一緒に行くぞ」
「うん。アルト、ありがと」
「あぁ………俺もあいつに聞きたい事もあるしな」
そう言いながら寮を出ると、ちょうどタイミング
よくタンザナイト殿下に遭遇したのだった。
「あぁ、よかった。シトリンだったな。君に聞きた
い事があるんだ。ルベライトにひどい怪我をさせ
た犯人を探している、協力願えないか?」
「ルベライト君は見つかったのですか?」
「あぁ、今は城の方に運ばれている」
「え!………城に?まさかそんなに酷いのですか?」
「あぁ、面会もまだ出来ないほどだそうだ」
間違ってはいないが、何やら誤解を招きそうな言い方
に誰も訂正しなかった。
シトリンは自分が襲われた時の状況を説明した。
そして、ルベライトが来てくれて自分を運んでくれ
た事。
途中魔獣に襲われてシトリンを庇って腕に怪我を負
った事などを話したのだった。
「そうか……ふむ……」
「タンザナイト先輩。この前はせっかくのお茶会を
すみませんでした。よかったら今度…」
「いや、それはもういい。それよりも………いや、
もう休みなさい」
「いいえ!ルベライト君に会うまでは……」
「無理だろう。私も会う事もできなかったからな」
意味深な言葉を残してタンザナイトは戻っていった。
そんな中、インペリアルトだけは寮のルベライトの
部屋の前で座り込むと待つ事にしたのだった。




