20話
遡る事、数分前の事だった。
「ルベライト君、と言うわけで協力してくれる
よね?」
「えっ、いや…まって……」
「さぁ、入っておいで。彼が実験に付き合って
くれるそうだよ」
「俺はそんな事言ってな……ちょっ、何を……」
身体中の痛みでまだ思うように動けないというの
に、実験に付き合わされるのは御免被りたかった。
しかし、そんな事を言う前に数人がぞろぞろと入っ
てきたのだった。
アメトリン殿下が来たのは夜も更けた頃だった。
軽い食事をてずから食べさせられると苦い薬を口に
入れられた。
苦いが、飲み込めなくはない。
それに、夕方飲まされた時もそうだが痛みが少し
引いた気がするのできっと効いているのだろう。
「一体何をするつもりですか?」
「それは〜、これの実験だよ」
「スライム?」
取り出した瓶中にはウネウネと動くスライム状の
物体が入っていた。
瓶に張り付くように動くあたり気持ち悪い。
スライムは魔物と分類されるが、最近では食用や
下水の掃除にも使われている。
野生のスライムと違って、養殖されたものを使っ
ているのだった。
「そう、一見スライムだが、これはちょっと特殊
でね。ヒーリングスライムと言って怪我した動
物を近づけたところ、なんと……この先は自分
で体験してくれ」
「ちょっ、まっ……ひぃっ……」
ルベライトの身体の上にひっくり返すとドロっと
した液状の身体を使って服の中に入って来たのだ
った。
気持ち悪いと言うよりもくすぐったいという方が
正しいだろう。
だが、問題はそこではなかった。
振り払おうにも力が出ないところに、無理矢理身体
中弄られたらそれだけで辛くなる。
そしてあらぬ事か動かない腕や足を勝手に開かせる
と太ももに巻きつき始めたのだった。
「やっ……そこだめぇ〜」
「なんとも………やらしい格好だね」
「取って……もうやめさせてっ!」
「実験は朝まで続くから頑張ってくれ。僕はそろ
そろ寝るから朝を楽しみにしているよ」
そういうと、アメトリン殿下は引っ込んでいって
しまった。
実験生物と言っていた意味がわかる気がした。
夜通し身体のあちこちを弄られ続けると、全身が
敏感になってしまった。
ぐったりとしながらも、身体を弄られる度に意識
が浮上したのだった。
「もう……やだぁ〜〜〜」
噛まれた腕や股下を入念に弄られたせいか触れら
れる度に熱い息が止められなかった。
まるでストレッチでもするように手足に巻きつき
引っ張られると折れた肋が痛み出す。
すると、口の中へといきなり入っていく。
喉を奥まで進まれると違和感で吐き気がする。
涙目になりながらも耐えると、下半身が疼きはじ
めた。
ベッドの上で悶えるルベライトを実験動物を見る
目で眺めると誰も助けてはくれなかった。
空を掴む思いで伸ばした手は、何も掴む事なく
ベッドに垂れた。
明け方、少し落ち着いて来たのか服の中と上を
這いずり回るように全身に身体を巻きつけたり
と圧迫して緩めるを繰り返した。
荒れていた唇も今ではぷるぷるになってくる。
その頃には、治療行為とは思えないほどに部屋
の前に来ると恥ずかしくなるような声が漏れる
ようになっていたのだった。
「いやぁぁっ………はぁ、はぁ、んんっ……」
別にいやらしい事をしているわけではない。
全身を解され、癒す為に身体中にまとわりついて
いるに過ぎない。
その甲斐あってか、昨日まで痛みで動けなかった
身体は今朝は普通にスライムの捕食から逃れよう
とジタバタと暴れられるほどまで回復したのだった。
その途中で部屋の外でタンザナイトが騒いでいたが
ルベライトの耳には入ってこなかった。
タンザナイトが帰ったあと、アメトリン殿下は面白
いものを見る目でじっと見てきたのだった。
全身を包むように包んでいたスライムがいきなり
ルベライトから離れていく。
これは治療が終わった事を示していたのだった。




