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18話

暖かいふわふわのシーツにゆっくりと目が覚める。

見た事のない天井を眺めながら夢現のまま微睡む

と部屋の外からノックする音が聞こえてきた。


「開けるぞ……お、起きてたか?」


見た事のある顔をじっと見つめながら身体を起こす。


「……ぃっ…………!!」

「まだ起きなくていい。骨が折れているんだ。今は

 魔法の治療ができないからこうして薬草を煎じて

 もらったんだ。不味くても飲め」


そう言って深緑色の泥液を渡してきたのだった。

背中を支えられ起こしてもらうとスプーンで口元ま

で運ばれた。


「自分で……」

「いや、しっかり飲むまで見ていろと殿下に言われ

 れててね。悪いが飲み切るまで終わらないぞ」


この茶色髪の青年はどこかで見た事があると思ったら

夜会で見た記憶があったのだ。


第一皇子の側近候補として立っていたインディゴラ

イト・ノース子爵。

騎士団団長の息子だ。


タンザナイトと同じ年でルベライトからは一個上で

ある。


「どうしてノース子爵がここにいるのですか?」

「それを言うなら、どうしてあんなところに倒れて

 いたんだ?確か野外実習だったはずだろう?」

「それは……あ、シトリンはどこにいるんだ?あい

 つも怪我してて……」

「それなら、平民は保護したと2年生が言っていたぞ」

「ほっ……そう、ですか……」


噂とは違って、平民にも気にかける事ができるのかと

少し意外な一面を見たと言いたげだった。


それから、ここに運ばれた経緯を話してくれた。

魔獣に噛まれた腕は今も痛みで動かせない。

足はなんとか動くが全身に痛みがあるせいか安静に寝

ているように言われたのだった。


治癒魔法が使えないと言う理由は、この世界の治癒魔

法は万能じゃないからだった。


投薬は怪我した後で化膿したり熱が出るのを防ぐ効果

がある。

塗布薬は大概は外傷に効く。

ポーションと同じ効果がある。


治癒魔法は一気に自然治癒力を高めて治してしまう

が、実際は完全に直したわけではないのだ。


その分、短期間に再び怪我をしたとき、同じように

治癒魔法をかけても治す事ができないのだ。


最低でも二ヶ月から三ヶ月は時期を空ける必要があ

るのだ。


この前の大火傷の後だったので、ルベライトには

治癒魔法が効かなかったと言う理由だった。


「ご迷惑をおかけしました」

「いやいや、うちの殿下が一回君に会ってみたいと

 言っていてね。明日、会うことになるから今日は

 おとなしく寝てなよ」

「あ、でも……」

「今寮に帰っても何もできないだろう?このまま

 ここに泊まればいい。見張りは外にいるから抜

 け出せるとは思わない方がいいよ。じゃーね!

 ルベライト君」


しっかりとまずい薬草汁を飲まされるとインディゴ

ライトは満足したように出ていったのだった。


次の日には、少し楽になった気がする。

夜に熱が出たせいで身体が怠いが痛みは少し引いて

いた。


コンコンッ。


「起きているかな?」

「はーい」


ルベライトは返事をすると、昨日のインディゴライト

とその横にアメトリン殿下の姿が見えた。


「あ……昨日はありがとうございました。なんとお礼

 を言っていいか……」

「そうだね。君がルベライト君か……タンザナイトは

 元気にしているかい?君はあの子と一緒にいる事が

 多いそうだね?是非とも聞きたい事があるんだ」

「すみませんが、そう言う事は側近のサンドライト子爵

 に聞いてはいかがですか?」

「ふむ……そうきたか……。まぁいい。今日は別件で来

 たんだよ。その怪我じゃまだ動けないだろう?そこで

 魔法生物科がね、面白いものを持って来たんだよ。

 実は実際に使ってみたいのだけれど、今それを試せる

 人がいなくてね〜」


部屋には運び込まれてきたモノにルベライトは目を見開

いたのだった。

拒否権はなさそうであった。










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