17話
騎士からルベライトが見つかったと報告を受けると
タンザナイトはいてもたってもいられなかった。
「ルベライトは今どこにいるんだ!」
焦る気持ちを落ち着かせながら久しぶりに会う事を
思うとすぐにでも会いに行きたかった。
幼い時は、会いたい時に会いにくれば会えたし、
アカデミーに入ってからも、昼や帰りには偶然会う
事があった。
タンザナイトの為にとなんでもやってくれる弟の
ような存在に感じていた。
だが、最近は距離を置かれるようになって、なん
だか寂しい気持ちだったのだ。
(きっとこれが反抗期と言うやつだろうか?)
そっとしておくことにした矢先、今回の迷子報告
を受けたのだ。
「えーっと、それはですね……」
「言えないのか?それとも私を安心させる為に嘘で
も言ったのか?」
なかなか話そうとしないアレキに怒りが込み上げて
きたのだった。
「無事見つかったという事でよかったではありません
か?ほら、後日見舞いにでも行ってきますので、そ
の時に傷の具合でも聞いてきます」
「傷の具合だと?怪我をしていると言う事か?」
「あ……いえ、それは……」
もう、これ以上聞いてはいられなかった。
タンザナイトは立ち上げると学院内でも使える人間を
呼ぶ為に呼び鈴を鳴らしたのだった。
一応皇子という身分がある為、何か急用で動かせる
ようにと密偵がついているのだ。
「お待ちください。話しても決して迎えには行かな
いとお約束できるのであればお教えします」
切羽詰まった声でアレキはタンザナイトを止めたの
だった。
「私を引き留めたのだ。しっかり理由を聞かせても
らおうか」
「……………はい」
もう、これ以上は隠し通せない事を悟ったアレキ
・サンドライトだった。
♦︎♦︎♦︎
一方その頃。介護室では傷の手当てを受けていたシ
トリンが目を覚ましたのだった。
そばには見守るようにインペリアルトがずっと起き
るのを待っていた。
「アルト……?」
「リン、起きたか!身体は大丈夫か?酷い傷だった
から心配したんだ。他に痛い場所はないか?」
「アルトっ!ルベライト君は?彼はどこ?」
意識がはっきりするとシトリンは飛び起きてインペリ
アルトの腕を掴むと縋り付く。
「ルベライト君はどこにいるの?」
「……どうしてあんな奴の事を言うんだ?お前をこ
んな目に合わせたようなやつ……」
「違うよ、彼は僕を助けてくれたんだよ。いきなり
襲われて身動きできなくなっちゃった僕を背負っ
て運んでくれたんだよ。途中魔獣に襲われたけど、
彼が庇ってくれたんだよ。ルベライト君はどこに
いるの?」
「…………」
「どうして黙るの?お願い、アルト。教えて」
「………置いてきた。あの森に置いてきたんだ」
「……え…どうしてそんな事を!早く助けなきゃ」
シトリンはすぐに助けに行こうとした。
だが、シトリンが目覚めたのはもう外も暗くなった
頃だった。
捜索するなら明日になるだろう。
今から探しに行ってくれる人はいないだろう。
「明日、俺が探しにいく……だから今日は」
「どうしてそんな事言うの?どうして僕だけ助け
たの?」
「それは………」
インペリアルトは素直に言えなかった。
シトリンを傷つけられたと思って殴ったなど、今
のシトリンには言えるはずもなかった。もし、言
えばすぐに駆けつけに行ったに違いないからだ。
インペリアルトはシトリンを寮に送るとドアの前
に背中を預けるとズルズルと座り込んだ。
平民なのに、シトリンの行動力は幼い頃から活発
的だった。
真っ直ぐで優しくて、そして誰よりも魔法が上手く
使えた。
人を信じて裏切られるくせに、誰も傷つけたくない。
そんな優しい子だから、心配になるのだ。




