表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/21

12話

コンコンッ。

と軽くノックをすると、アレキは部屋の中に声を

かけたのだった。


「タンザナイト殿下、シトリンとインペリアルト

 殿がお見えになりました」

「入れ」


本当ならお茶会は外のテラスで行われるか温室

などで行われる事が多い。


だが、タンザナイト殿下は虫が大のお嫌いであ

った為、部屋に花を飾る事で妥協したらしい。


その考えはいいとして、それを入れ知恵したのが

ルベライトだと言う事をアレキは知っている。


なぜなら、『タンザナイト殿下の取り扱い説明書』

と題された冊子を渡されたからだった。


目を通してくれと言うルベライトの言葉通り一度

は読んでみた。

だが、到底お慕いしている殿下の悪口にしか見え

ない内容だった。


部屋に招き入れたシトリンという平民はオドオド

しながら席についた。

その横にはインペリアルト殿が座る。


「よく来てくれた。今日はゆっくり楽しんで行っ

 て欲しい」


ふわりと微笑むと、まるで百合の花の如く神聖な

殿下のお姿が眩しく見えた。


「お、お招きありがとうございます……殿下」

「そう堅苦しい挨拶はいい。もっと気楽に話して

 くれ」

「なら聞くが、あいつはどこだ?」

「あいつとは?」


インペリアルトはぎっ睨むとタンザナイトを睨み

つけた。

アカデミーでは身分を誇示しないと言うが、あまり

に目に余る言動にアレキは殺気立つ。


「ちょっと、やめてよ。アルトもちゃんと謝るって

 言ってたでしょ?」

「それは……」

「ダメだよ、ちゃんと謝らなきゃ。ルベライト君も

 謝罪してきたんだから、アルトも謝って」

「あぁ……分かった」


インペリアルトの手綱を握っているのはこの年下の

青年のようだった。

平民だと聞いていたが実にしっかりしているようだ。


「まずは、今日はルベライトは居ない」

「そうか……」

「だが、私は君がルベライトにした事を許すつもり

 はない」

「…!?」


タンザナイトの口からそのような言葉が漏れるとは

思いもしなかった。


「殿下……それは」

「言った通りだ。何があったか知らないが、一つ

 間違えればルベライトは死んでいたかもしれない

 んだ。それを謝っただけで許すつもりはない」


ここまでハッキリと言われては気まずいだろう。

そう思うと、インペリアルトは席を立つと出て

こうとする。

それにつられるようにシトリンも立ち上がった。


ちょうど運ばれてきた紅茶が注がれたが、気ま

ずそうにぺこりと頭を下げるとインペリアルト

を追っていく。


「アルトが失礼な事を言ってしまってごめんな 

 さい。決して悪気があったわけじゃないんです」


その言葉を残して二人とも出て行ったのだった。

今日のお茶会は一瞬で終わった。


アレキはそっとドアを見つめると閉めに行く。


「もう、出ていけ」


ポツリと漏れるタンザナイトの言葉にアレキは

そっと部屋から出た。


だが、部屋の前から帰る気にはなれなかった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ