10話
一通り会話の練習をすると、大分と親しみやすく
なった気がする。
「あとは、彼の側についている騎士科の生徒。
あいつをなんとか引き剥がす方法はないか?」
「いえ、一緒に誘えばいいのです。一人で誘うよ
りも気楽に来てくれるはずです。それに幼馴染
みのようなので引き離さない方がいいです」
「そうなのか?だが……邪魔じゃないか?」
「そんな事はないです。彼もシトリンに惚れてい
るようなので、勝手に暴れるような事はない
はずです」
ルベライトは一通り練習がてら言葉のチョイスに
ダメ出ししたのだった。
練習した甲斐あってかタンザナイトの言葉使いも聞
いている分には不快と取れるものは無くなっていた
のだった。
「だが、あいつはルベライトに……」
「いえ、あれは俺が悪かったので」
インペリアルトの事は、あまり好きにはなれないよう
に見える。
それもそうだろう。
シトリンを好きなのならライバルと言ってもいい立場
の二人なのだ。
どっちにしろ仲良くできるはずはない。
だが、シトリンからしたら全員が攻略対象のはずなの
で、上手い事操るだろう事は目に見えている。
したがって、アカデミー在学中は誰とも恋人関係には
ならないのだ。
「では、俺はこれで。タンザナイト殿下。貴方は顔は
美しい。人を見下すような事さえ言わなければ、そ
の顔だけでアカデミー中の生徒を魅了できると思い
ます。だから卑屈になって誰かと比べたりせず、自
分に自信を持ってください」
「ルベライト、いつからそんな生意気な口を聞くよう
になったんだ?だが……アドバイスは聞いておいて
やろう」
「はい、殿下。それと、側近はしっかりした人をお選
び下さい」
「何を言っているんだ?もう決まっている」
「そう……ですか。では、お気をつけて」
タンザナイトに別れを告げるとルベライトは教室へと
戻った。
もう、自分ではなく、もっとしっかりした騎士科の人
間を側近にしてくれればいい。
これ以上ルベライトが関われば一緒に共倒れになって
しまうのだ。
それだけは避けたかった。
父からもタンザナイトの側にいる事をよくは思われて
いない。
昔だったら、それでも良かったが、今は違うのだ。
小説の舞台はもう始まっている。
王立ジュエリーアカデミーに入学から始まる舞台では
途中退場は国外追放か処刑の二択。
絶対に、この世界でも
生き抜いてやる。
そう決意を固めたのだった。




