64株目 王子の側近 ルーカスside
私は、幼少の頃より、エドアルト殿下の側近として過ごしてきた。
人目のないところでは『エド』と呼んでいる。
いつもエドは、冷静に状況を見極め、正しい判断を下すことに長けていた。
私たちも、その判断に従って動き、道しるべを作るべく計画、奔走した。
今まで、全てが計画通り進んできた。
そう自負していた。
なのに、一つだけ・・・
思い通りにいかないことがあった。
それが、ヴェルデリア嬢とのことだ。
婚約者候補にするまでは、うまくいっていたようだった。
なのに、エドは浮かない顔をする。
今まで決して他人の前で弱音を漏らすようなことはなかったのに。
このことに関しては、人間らしく表情に出している。
興味本位で、都合がいいからと近づいたはずなのに・・・・
ヴェルデリア嬢の一言一言に翻弄されている。
驚くとともに
側近としては、いさめなければならない。
しかし、友としては・・・・・喜ばしいことだと感じている。
自分の感情を揺らして、人と向き合っている姿を見て。
王子としては、失格だが。
一人の人間としては、王となる前に一度でも経験出来てよかったと思う。
それにしても、困惑している。
エドったら、せっかくの婚約者候補の立場を有効に使わずにーーーー
一度距離を置こうとするなんて・・・・
好きなのに、他のライバルたちにチャンスを与えるなんて・・・・
エドらしくない。
その上、かなり落ち込んでいるのにそんな顔だけは私たちにも見せない。
心配で眠れていないのに、何事もないふりをして仕事をしている。
余計なことを考えないように、いつもより仕事を詰め込んでいる。
そんな青白い顔をしてーーーー
そんな目の下のくまを隠しながらーーーー
表情を動かさずに、ひたすらに仕事をして・・・・
ばかだな!
ーーーエドは
ーーーヴェルデリア嬢にだけは
自分の本当の気持ちを伝えればいいのに
ただそれだけなのに
今回ばかりは、私たちが動くことはできない。
仕方がないから
遅くまで、黙って仕事に付き合ってやるよ。
ヴェルデリア嬢にエドの気持ちが伝わるように願いながら・・・
それが、俺たち友人としての
せめてもの
思いだ




