62株目 私の気持ち
パーティーのあと、家族は私をそっとしておいてくれた。
私は、それから自分の幸せについて。
自分の気持ちについてしっかり考えることにした。
私のことを一生守ってくれると誓ってくれたカイル様。
ずっと魔法を教えてくれたオルフェウス先生。
1年生の時のクラスメイトとして過ごしたセシル様。
手紙には私のことをとても心配してくれていること。
もしよければオスト国に王子妃としてきてほしいことも書いてあった。
そしてーーー
今まで、婚約者候補として過ごしてきたエドアルト王子様。
「ヴェル・・・・
ーーーー最後に君に呼んでほしい。
”エド”と」
パーティーの時のあの声を聞いて・・・・・
ーーーーーー思い出した。
私が、眠っているとき、
毎日のように聞こえてきた声。
「ヴェル?お願いだ。目覚めてくれ!君のいない世界はつまらないよ。」
「ヴェル!早く会いたい!」
「ヴェル。君にエドと呼んでほしいんだ。」
「ヴェル・・・・・愛している。」
家族からも、教えてもらった。
私が眠っていた50日間。
どんなに忙しくても、エドアルト王子様は私に会いに来てくれた。
反応もない私のところに。
毎日話しかけてくれた。
私のことを想って。
そう思ったら、自ずと答えは見えてくる。
(ーーーエド様)
このままではいけない。
エド様を悲しませたままでは・・・・
きちんと伝えなければ・・・・・・・
そのためには、まずやるべきことがある。
私の気持ちを伝えなければいけない人がいる。
私は、まずカイル様に話をした。
「カイル様は、ずっと私の専属護衛でいたいとおっしゃいましたね。
その気持ちは、変わりませんか?」
私は、カイル様の目を見てしっかりと確認する。
「もちろん、変わりません。」
カイル様も一瞬の迷いもなくすぐに答えた。
「それでは、もし私が別な方と婚姻を結んでもそれでも変わらないのでしょうか?
私、自分の意志でエドアルト王子様を選びたいのです。」
私は思い切って尋ねた。
「・・・・・・もし、私を選んでいただけたならこの上なく幸せですがーーー
それでも、選んでいただけなくとも護衛として一生あなたのそばにいたいと思います。」
カイル様は、視線を一瞬下に向けたがすぐに私の目を見てそう宣言した。
「そこまで思っていただき、ありがとうございます。
カイル様に私の護衛をしていただけることは、本当に心強く思っています。
それでも、護衛を止めたいと思われたたら、すぐにおっしゃってください。
私も、カイル様の気持ちを第一に尊重します。」
私は、カイル様の手を取って、感謝の気持ちを表した。
次は、オルフェウス先生だが・・・・
婚約の打診の手紙は、すでにお父様が断っていたようだ。
先生として指導してくださっていることには感謝しているが・・・・
今までの数々の私を使った実験に。
相当怒りがたまっていたらしい。
家族全員の意見の一致で決まったと聞いて、
私は少し同情してしまった。
最後に、セシル様。
私は、セシル様に私の気持ちを正直に書いたお返事を出させていただいた。
まずは、ご心配いただいたことに対する感謝。
元通り元気に過ごしていること。
そして、今回はエドアルト王子様は私の行動に反対の立場だったこと。
私の意志で自分を犠牲にしたため、不幸ではないこと。
私のしたことに、後悔がないことも。
その上で私の気持ちを正直に伝えた。
『セシル様。
私の今の気持ちを正直にお伝えいたします。
学園で私の魔法を素晴らしいと言って、その上で私を尊重してくださったセシル様に本当に感謝いたしています。
私の立場を心配してくださって王子妃として呼んでいただいたことにも感謝しています。
それでも、私はーーー
この国が好きです。
この国の人たちが好きです。
私の家族も大好きです。
そして・・・・
エドアルト王子様のこと一番にお慕いいたしております。
ですから、今回のお話はお断りさせていただきたいと思います。
もし、許されるのであれば
元クラスメイトとして、
セシル様に困ったことがあればいつでもご協力させていただきます。』
クラスメイトのリアより
最後にそう書いて、お返事を送った。




