59株目 エドアルト王子の訪問
私が目覚めたことによって、討伐成功のパーティーが正式に開催されることになった。
お医者様の見立てによって、私が支障なく動けるようになる2か月後だ。
それを知らせに来てくださったのは、なんとエドアルト王子様本人だった。
「大分、元気になったようだね。
安心したよ。
今日は、大切な話をしに来た。」
エドアルト王子様は、緊張感のある表情をした。
「まずは、君のおかげで難しい討伐が成功した。
王として、国として感謝するという伝言を預かった。」
王子は、王からの書状を見せてから私に手渡した。
「私は、ポーションを作っただけですので・・・・
本当の功労者は、討伐に向かわれた方々だと思います。」
私は、思ったことを伝える。
「それでも、君のポーションがなければ成しえなかったことだ。
ただし、私としては、その代償として君の寿命を削ってしまったことは本当に心苦しく思う。」
王子は視線を下げて、悔しそうな顔をする。
「エドアルト王子様は、今回、ずっと私がポーションを作ることには反対の立場だったのではないですか?
ーーーそれは、私の寿命のことを考えてくださったからでしょう?」
私は、王子様の視界に入るように体を動かし、笑顔を作った。
「エドアルト王子様が、私のことを第一に考えてくださっているということ。
気づいていました。
ありがとうございます。
だから、そんなにご自分を責めないでください。
きっと全部、これでよかったんです。」
私は、納得したようにうなづいた。
「君は、本当に聖女のように心優しい女性だね。
そこで、私も考えたんだ。
今回の討伐成功パーティーで、いくつかのことを発表する。
まずは、婚約者候補だったメアリー嬢がその座を降りることになった。
これは、ブリュンヒルデ公爵からの申し出だった。
今回の功績を考えるとヴェルデリア嬢の方がふさわしいからという理由だった。」
「それでは、メアリー嬢はどうなってしまうんですか?」
私は、心配になってしまい尋ねた。
「今回は、この状況に鑑み、国の方からもお願いすることになった。
こちらからもお願いするのだからもちろんメアリー嬢の相手も紹介させてもらう。
その相手も、先日レオンハルト殿に決まったよ。」
王子様からのその言葉を聞いて、心から安心して、同時に嬉しさがこみあげてきた。
「それならよかったです。本当に・・・」
「もう一つ、今回の討伐の一番の功労者としてカイル殿を近衛騎士隊長に任命し、褒賞を与えることが決まった。
だが、カイル殿がその権利を放棄した。」
私は、驚きになかなか声が出ない。
「ーーーーーどうして・・・・・?」
「これからも一生君の護衛を続けたいから、褒賞としてその権利を欲しいとのことで、王から昨日認められたよ。」
「そんな大事な褒章を、私なんかの護衛になんて・・・」
カイル様の言葉を思い出して、本気だったのだと気づいた。
「最後に一つ。
私の婚約者候補は君だけとなったわけだけど・・・・
ーーーーーー私は、
その立場を白紙に戻し、君自身が選べるようにパーティーで宣言しようと思う。」
「えっ・・・・・・」
その言葉を聞いた途端・・・
なぜか、急に私の体から熱が奪われたかのように心が冷え切っていった。
「私は、婚約者候補として・・・失格ということでしょうか?」
もはや、その言葉を発することも苦しい。
「違う!!そうじゃない!!
婚約者候補から外すのではないよ。
私だって・・・
そうじゃないんだ。
君は、周りから指示されるのではなくーーー
これからは、自分の幸せは、自分で決めていいと思うんだ。
自分が一番幸せになれる人と結ばれてもいいと。
だから、婚約者に誰を選ぶのかは、君が決めてほしい。
君が、私の婚約者候補を降りたいと願うのなら・・・・
ーーーー私は・・・・その決定に従うつもりだ・・・・・」
王子様は、肩を落とし、悲しそうに話す。
私は、いきなりの話に思考が追い付かない。
「ーーーー分かりました。
よく考えて答えを出したいと思います。
いろいろお知らせいただき、ありがとうございました。」
私は、そう言うのが精いっぱいだった。
そう言えば、今日は私のこと”ヴェル”って一度も呼んでくれなかったな~
言われたら、恥ずかしいけど
言われないのは・・・・・
ーーーーなんか寂しい




