52株目 エクストラポーション作成について
王宮にて
「現在の強力な生き物は、どんどん王都方面に近づいてきています。
移動した先の魔術師や騎士団が討伐に向かっていますが、勢いは止まりません。
このままでは、いつ王都にたどり着くか・・・・
もう一刻の猶予もありません。」
絶望的な報告が上がった。
「もう、このまま有効な対策もとれないまま全力で討伐に向かうしか方法はないのか・・・・・・」
王は、悔しさに強く拳を握った。
~~~~~ ◇ ~~~~~
リアの計画を成功させるために
家族への詳しい説明、準備に取り掛かった。
「成功させるためには、ちゃんとやり方をみんなで共有しないと。」
お兄様が確認してくる。
「リアちゃんが倒れてしまった場合の対処法もしっかり考えなければ。」
お母様は今から心配そうに私を見る。
「なんで、かわいい娘を・・・・・」
お父様はまだ言っている。
私は詳しい手順を説明する。
ハオルちゃんが新種の植物の種を準備してくれる。
それを私が地面に植えて植物魔法で成長させる。
そこで、私は倒れてしまうかもしれないけれど、意識はあるのでその間にしてほしいこと。
植物を採取して、洗い、刻んで鍋で煮出すこと。
これをなるべく短時間でしてほしい。
私の意識があるうちに・・・・
そこまで説明した時に、お父様とお母様はやっぱり黙ってしまった。
以前見た光景が忘れられないからだろう。
(いつも心配かけてごめんなさい。)
万が一のことも考えて、お母様が私についていて光の魔法をかけること。
私もポーションをあらかじめ準備しておくこと。
採取、洗浄、薬草を切ること、鍋で煮ることは、公爵家の庭師、料理人に手際よくやってもらうことにした。
もちろんやる場所は、このグランツ公爵家。
私が倒れてもすぐにベッドに横になって移動させなくても済むように。
医療班と光の術者班も手厚く準備させるようだ。
薬草を煮出したところに私が植物魔法をかければポーションが出来上がる。
私は、そのまま意識を失ってしまうかもしれないが・・・・
そのあと、お願いしていたディート様に闇魔法で私の作った新種の薬草をしっかり枯らしてもらう。
今回のようにとっておいて問題が起きないようにーーーー
そこはキチンと約束しておいてもらう。
ポーションは、何本かに分けておいて、騎士団の人たちにもっていってもらう。
強い生き物が出てきた場面でそのポーションを飲んでもらう。
その主だった役目はカイル様がかってでてくれた。
万が一けがをした人たちがいたら、その人たちにもポーションを使えるように準備してほしい。
そんな細かい打ち合わせをしていくうちに、あっという間に3日が経ってしまった。
グランツ公爵家にたくさんの人々が集まった。
王や王子、魔導研究所の主だった人々、光の術者、医療班の方など。
「みなさん。今日は、討伐の準備も整いつつある大切な日にお集まりいただきありがとうございます。」
まず、私から挨拶をする。
「いや。今回の討伐に向けて、少しでも有効な手段があるのであればぜひ教えてほしい。
ヴェルデリア嬢、よろしく頼む。」
王様も、みんなの前なのに相当困っているのか、頭を下げる。
周りの人たちもその行動にざわざわと驚く様子がうかがえる。
それなのに、お父様もお母様も唇をかみしめ、苦い表情をしている。
「そんな。私の知っていることをお知らせするだけですので、頭をお上げください。」
私は焦って声を上げた。
それでもーーー
先ほど、強い生き物が王都に迫っているという話を聞いたばかりなので、私もすぐに説明を始めた。
「では、さっそく説明をいたします。
まず、私が強い生き物に対処できうる予定の新種の薬草を育てます。」
私が、そう説明したとたんーーー
「いや。それは・・・・
ヴェルの寿命を縮めることにつながってしまうのではないだろうか?」
王子が慌てて私を見て心配そうな顔をする。
「ーーーーそれでもです。
今は、それ以外の手段がないから行います。」
「そんな。ヴェルデリア嬢の寿命を削ってまでやってもらうのは・・・・・」
「でも、この被害を考えるとーーーー他に方法が無ければ・・・・」
辺りが騒然となり、周りの人たちと視線を合わせて話し始める。
ほとんどの人が、一個人と王都の人々の命を天秤にかけている。
「私個人の考えでは・・・・・・・やめてもらいたい。」
王子が視線を下げて、考え込んでしまう。
「私は、今でもこのやり方に賛成ができない。
ーーーーーしかし、今・・・・
この国自体の最大の危機なのだろう?」
お父様が、ゆっくりかみしめるように王の方を見て静かに話す。
「ーーーーーすまぬ。
その通りだ。
何も方法がなければ、全滅覚悟でやみくもに向かっていくしかない状況だ。
それも、すぐにだ!」
王も悔しそうに視線を下げた後、私にすまなそうな視線をよこした。
「それなら余計にやるしかありません。
私も全力を尽くします。
計画をお話ししますので、必ず私の話す通りに最後までお願いします。」
私も、もう後には引けない。
私が育てた薬草をグランツ家の庭師が素早く摘んでいく。
同時にグランツ家の料理人たちが鍋に薬草を入れられる状態にしておく。
薬草を洗って刻み、鍋に入れる。
しばらく煮出して火を止めたところで、私が植物魔法をかけてポーションを作り出す。
これは、私が意識を失わないうちに行いたいため、時間勝負となる。
また、この時ディート様に闇魔法で、私が作り出した薬草の命を完全になくしてもらうこと。
この話をした時には、ディート様が驚きの声を上げた。
「なぜ、私が呼ばれたのかと思ったけど、そんなことを・・・・」
「せっかく作った素晴らしい薬草を失くしてしまうなんて、もったいないではないか?」
魔導士たちも驚き、口々に話している。
「今回のようなことが2度と起きないようにするためです。
未来に心配の種は一つも残したくないんです。
これが最後です。
もうこの方法はとれないと思うので・・・・」
私が、きっぱりと発言すると、周りのみんなはばつが悪そうに視線を泳がせた。
「ああ。それで構わない。
このようなことが2度と起きないように約束しよう。
ディート殿頼むぞ!」
王様もしっかり確認する。
「分かりました。必ず!!」
ディート様も胸に手を当てて約束する。
その後のポーションの使い方について説明し、早速作り始めることになった。




