5株目 私の魔法って?
視線が突き刺さる。
ひそひそとした声なのに、わざと聞こえるように響く。
会場から馬車に乗るまでは、針の筵だった。
好奇のまなざし・・・
馬鹿にするかのような嘲笑。
新たなものへの恐怖の顔。
噂話
マイナスの雰囲気の中、お父様の陰に隠れて会場を後にした。
リアたちが帰った後、魔導協会の庭園を見た人たちが違和感を感じた。
今まで、花芽さえなかった場所に色とりどりの花たちが咲いていたのだから。
しかし、誰もその原因がーーーー
たった今”無価値”だと噂された少女がしたことだとは思わなかった。
馬車の中でも誰も話さない。
(気まずい)
(がっかりしているんだろうな)
(・・・顔を見たら、何か言われそうで怖い。)
そう思うと、視線を外の景色に向けただ時間が過ぎるのを待つしかなかった。
馬車が家に着くと、私はお父様とお母様に静かに頭を下げ、自室に戻らせてもらった。
これ以上を顔を合わせているのがいたたまれない。
部屋に戻ると私はベッドにダイブした。
(疲れたーーーー)
(何なのよ私の魔法。)
「・・・・・該当する魔法属性は存在しない。」
「つまりーーーー分類不能。価値判断、不可。」
「現時点においてーーー実用性は認められない。」
(つまり、私の魔法は何の役にも立たないっていうの?)
(いらないのね。)
はあ~~~~。
ため息が出る。
(せめて、どんなことができるとか、何魔法なのか知りたかった。)
(でも、緑色に光ったわよね。
緑の魔法?
う~ん?それって植物?
植物を何かできる魔法なのかな?
じゃあ、植物の魔法?
そういえば、検査の後すぐに花が咲いたとかなんとか・・・)
『リアちゃん。がっかりしないで、植物の魔法ってすごい魔法なんだよ。』
ハオルちゃんが出てきて私の周りをまわる。
「・・・・どんなことができるの?」
『じゃあ、リアちゃんの近くにある植物の何でもいいから成長してほしいって願ってごらん。』
ハオルちゃんは、私に植物の魔法はすごいってことを知らせたいらしい。
私は、うちの庭に出てみた。
ひっそりと静まり返って、まるで私の検査の結果を知って落ち込んでいるようだった。
(誰もいないならちょうどいいや。ちょっと試してみよう。)
私は、庭師さんが花壇に種をまいて、芽が出たばかりのところを見つけた。
そこに、手のひらを差し出した。
なんか、魔法って手から出すイメージだからね。
『リアちゃん。リアちゃんの魔力はかなり高いから強く願うだけで大丈夫だよ。』
初めて使う魔法に私の緊張は高まる。
私は、両手を組み、お願いのポーズを作る。
目をつぶり、小さな芽が大きく成長するように願ってみた。
(大きくなあれ。)
その途端ーー
体の奥から、じんわりと温かいものがあふれだした。
それが手のひらへと流れ、
芽へと吸い込まれていく。
次の瞬間。
大地が答えるように、芽がはじけた。
芽の辺りが緑に光り、急激に茎が伸び、葉が茂りだした。
私の身長を越したころ・・・
ポン、ポン、ポン、ポン。
今度は、花芽を持ち始め、一気に花が咲きだした。
(うわ~。何これ。すごすぎる。)
(・・・・・止まらない!?)
(これ、どこまで成長するの?)
(あれ、それよりもこのままにしたらまずくない?)
私は、あわてて部屋に戻った。
(これ、あまり人前でやったらだめだ。)
そう思った時、
『やっぱり、リアちゃんすごいよ。一日に2回も植物を成長させてもなんともないんでしょう?』
「えっ、それってすごいことなの?」
『今この世界でこんなことできる人はリアちゃんしかいないよ。
そんなこと本当は”ありえないこと”なんだよ。』
なんとも衝撃的なことを言ってくれる。
(そんなにすごいことなのかな?)
「花が咲かせられたって人の役には立たないんじゃない?」
私は、無価値だと言われたことが気になってそう聞いてしまった。
『価値があるか無いかは、使い方次第だよ。考えてごらんよ。いろんな使い方ができるよ。』
そう言われて、よく考えてみる。
確かに花を咲かせるだけでは、ただのマジックみたいに誰かを驚かせるくらいだ。
(でも・・・・・)
(もし、これが花じゃなくてーー)
(食べ物など必要な植物をたくさん育てられたら・・・・・)
私の魔法ももしかしたらーーーーー




