48株目 リアの判断
お父様が王宮に突然集められた会議から帰ってきた。
しかも、エドアルト王子と一緒に。
二人とも重苦しい雰囲気で黙ったまま、視線を合わせようとしない。
「何があったんですか?」
お母様も心配になって訊ねた。
「ちょっと困ったことになった。
これから大事な話をする。」
執務室にエドアルト王子、お父様とお母様、お兄様と私が集められた。
「まず現状から話す。
リアが前回作った新種の薬草。
それを魔導研究所が研究のために保存しておいた。
厳重に管理されていたはずだったが、その薬草に虫がついた。
その薬草を食べた虫は、薬草の効果なのかかなり大きかったようだ。
今回、その虫が研究所の外に出てしまった。
その虫を何かが捕食して、また捕食され・・・・
とうとう今まで類を見ない大きく強い生き物となって暴れている。
王都に近い場所に現れた生き物に対して地方の騎士団などは全滅していると聞く。
最後の手段として、今回王都の騎士団に討伐要請があった。
これは国を危機に陥れる可能性のある一大事として王の采配のもと討伐隊が組まれることになった。
ただ、このままやみくもに向かったのでは、また全滅の可能性もある。
そうなってしまえば・・・・・
ーーーーもう打つ手はない。
そこで、今どんな対策ができるか準備検討されている。」
お父様は、時々苦しそうな表情になりながらも一気に説明してくれた。
「・・・・・それでは、あの時私の作った新種の薬草が原因なのですね。」
私は、泣きそうになりながらも事実を確認するためにお父様に聞いた。
「それは、違う!!!」
エドアルト王子が立ち上がって私に向き合う。
「ヴェルだったら、そう考えてしまうと思ったからついてきたんだ。
誰も、君のせいだなんて言ってはいないよ。
それだけは、間違いない!
だって、君はあの病気を抑える大事な薬草を命がけで作ってくれたのだから・・・・」
エドアルト王子は、私の目を見て真剣に話してくれる。
「そうよ。あなたは、自分のしたことを誇っていいはずよ。
誰にもできないことなのよ。」
お母様も私の手を取って励ましてくれる。
「もちろん、リアを責める声はなかった。
ただ・・・今は、誰が悪いかを話している時ではないんだ!
どうしたらその生き物を討伐できるかだ。」
お父様も話を本題に戻す。
「植物魔法に一番詳しいのは、ヴェルだから、何かしらの討伐のヒントはないか聞きに来た。
君にまた頼みごとをするのは、心苦しいが・・・・
今は、本当に手立てがないんだ。」
「ちょっと考えさせてください。」
私は、考えるふりをして目をつぶって下を向いた。
(ハオルちゃん。どうしたらいいの?私に何かできない?)
『ーーーーーーーで・きーーーないよ。』
なんかいつものハオルちゃんの反応ではない。
(ハオルちゃん。国の一大事なんだよ。
あるならお願いだから教えて!)
『ーーーだめだよ。
教えられないよ!』
(教えられないってことは、何かあるんでしょう?
お願いだから・・・・
私の作った薬草が原因なんて、一生後悔するよ。
ーーーーーハオルちゃん!)
『だって、リアちゃん・・・・・
リアちゃんがただじゃすまないかもしれないんだよ。
ーーーーーそんなのっ!』
ハオルちゃんが手で顔を覆って泣いている。
(ーーーーーそれでも・・・・・
それでも、私はやる!
国の一大事。
救えるのは”私だけ”なんだもの!)
『いやだよ~~~~~。』
ハオルちゃんは私に抱き着いてきて泣いている。
(お願い!ハオルちゃん。教えて。)
私は、背中をなでながらなるべく優しく語りかけた。
『・・・・・どうしても?』
ハオルちゃんもなかなか教えてくれない。
(お願い!)
『は~~~~~~。
リアちゃんは、一度決めたら絶対やるんだもの。
どうなるかわからないんだよ。
本当にいいの?』
(ーーーうん。)
『ーーーーー仕方ない。
やるかやらないかの話は後でする。
やると決めたわけじゃないからね!
本当にこれは最後の手段なんだよ。
まずは、この前作ったよりも強力な新種の薬草を作るんだよ。
そして、それをリアちゃん自身がポーションにする。
それを飲んだ人は強い生き物を倒す力を得られるんだ。
ただ、これも神の領域だからもちろんリアちゃんの寿命はだいぶ縮むよ。
どのくらい縮むか見当もつかない。
もしかしたら・・・・・』
ーーーーーそうか~
もしかしたら、私このまま死んじゃうのかもしれないんだね。
どうしよう・・・・・・・・・・
ーーーーーそれでも・・・・・
それでも、私がやらなければ!
私は、決意をもって顔を上げる。
だいぶ時間はかかっただろうに、みんな私の考えがまとまるまで待っていてくれた。
「一つだけ方法があります。
ただ、それには少し準備が必要です。
その準備が整った時、詳しい説明をいたします。
三日ください。
その時には、私のクラスのディート様もお呼びください。
よろしくお願いします。」
お父様とお母様、お兄様、エドアルト王子は心配そうに私を見る。
それでも、私の決意は揺らがない!
ーーーーーこの国のために。




