46株目 魔術学園2年生になりました
あっという間に過ぎてしまった1年だった。
友達もできて充実した1年。
でも、今日から2年生。
私のクラスはまた一人ぼっちか~
やはり一人は寂しいな。
そう思って教室にいると、漆黒の瞳の金髪の一人の男の人が入ってきた。
名前は、ディート・フォン・アイゼンシュタット。
闇魔法の第一人者、アイゼンシュタット公爵のご子息だ。
オルフェウス先生の説明を聞けば、 今年度この魔術学園に闇魔術の魔法を使う人が一人しかいないため、一緒のクラスとなったらしい。
「お前があの珍しい植物魔法の術者か?
どんなすごい魔法なんだろうな?
あ~見るのが楽しみだ。」
一つも楽しみではないかのように聞こえる。
「今日から同じクラスということで、よろしくお願いいたします。」
私は、当たり障りのないように返した。
「ふん。では失礼する。」
それだけ言うと、踵を返して去っていった。
明日から、苦労しそうな感じ。
ディート様とはほとんど接点もないまま、講義が進んでいく。
私は、1年の終わりの魔術競技会の練習をだいぶ続けたことによって、魔力量も格段に増えた。
実のなる植物をある程度の数実らすことも疲れずにできるようになった。
それを知ったオルフェウス先生がとても喜んで、いろいろな作物を実らせようとしてくる。
更にはーーー
薬草を育てて、すぐにポーションを作って、どのくらいのけがが治るか実験したくてたまらないらしい。
でも、その実験を自分を使ってやろうとするのはやめてほしい。
大けがして、治らなかったらどうするんですか?
どうしても自分が飲みたいとか、私にお願いしてくるのはやめて!
ハオルちゃんもそんな時は、私から離れて全く姿を見せない。
今日は、2年生になって初めての実技の授業。
いつものごとく、お互いの魔法を把握するところから始まった。
私は、薬草の種を数粒地面に蒔いて、成長させた。
ディート様はその様子を見て、顔をしかめた。
「父上が言っていたのはこのことか。
これでは、自然の摂理が乱れてしまう。
全くこんな安易に・・・」
小さな声でぶつぶつと呟いている。
私が、その後ポーションを作ろうかと思って移動し始めたところ、小さい鳥が何かに襲われたのか血を流して飛べずにいるのを見つけた。
驚いたけれど、このままでは小さい鳥が死んでしまう。
私は、ポーションがないかどうかオルフェウス先生に聞いてみた。
「先生。ポーションは今ありますか?」
「ちょうど、今は在庫がない。
必要ならば作るしかない。」
オルフェウス先生が、たくさん飲んじゃうから、大事な時に・・・
「その必要はない!」
その時、ディート様が私たちを睨みつけてきた。
「必要がないというのは、どういうことですか?」
私も驚いて質問をした。
「この鳥は、もう長く生きることは難しい。
その鳥の命を操作してまで、どうにか生き返らせることは自然の摂理として不自然だ。
ーーーーそう言う行為はやがて自然界にゆがみをもたらす。
死にゆく命はなるべく”楽に自然に返してあげる”ことが大切なんだ。」
ディート様は、静かに語る。
その目は、優しくその小鳥を慈しんでいるかのようだった。
「その考えは研究者の中からも聞いたことがある。
闇魔法の根本的な考え方らしいね。」
オルフェウス先生も知っているようだった。
確かに小さい鳥は、もう動かずに血を流しているだけだった。
その時ーーー
ディート様は、今までに聞いたこともないような優しい声で語りかけた。
「闇の精霊よ。我に力を与え給えーーーー」
そう唱えたところ、ディート様から黒い靄のようなものが出て、小さい鳥を包んだ。
そうして、小さい鳥の命はその黒い靄となって天に昇っていくのが分かった。
全て見届けると、ディート様はその鳥を誰も通らないような木の根元に埋めてあげた。
「ーーーーむこうで自由にはばたくんだよ。」
そう言って・・・
初めて闇魔法の使われるところを見せてもらった。
今までの私の考えと180度違う考え。
ーーーそれでも納得できるような不思議な感覚だった。
やはり、魔法にはそれぞれの良さがあることが分かった。




