40株目 魔術競技会が始まります!
あの日以降、学園での練習もなかなか大変だった。
私とセシル王子が試行錯誤しながら練習を続けた。
そのたびに、かなりの頻度でエドアルト王子が顔を出してくれた。
ご自分のお仕事も忙しいはずなのに。
そして、ご自分の土魔法を取り入れた案を入れてくるものだから困った。
「エドアルト王子様。
これは学園の競技会です。
王子様は参加できませんよね。」
私が、声をかけるとーーー
「私は、観覧することになっているからね。
特別に参加することも可能だよ。」
なんて、こともなげに言う。
「いけません。
一クラスだけに王子様が入ったら厳正な審査になりませんからね。
絶対にやめてください!」
私が、口を結んで訴える。
すると王子は嬉しそうに、
「怒った顔もかわいいんだね。」
なんてからかってくる。
「そんなことばかり言っていると、王子様の観覧を取りやめてもらうようにお父様に進言しちゃいます。」
私は、王子様をちょっとにらむようにして言った。
「それだけは、やめてくれ。
君のお父様には頭が上がらないんだよ。
もう口出ししないから・・・・・
見ているだけにするから。ね?」
困ったような顔で私を見つめてくる。
セシル王子が後ろで私たちの様子を肩を揺らしながら楽しそうに見ているとは気が付かなかった。
次に、担任のオルフェウス先生。
私が魔法を見せるたびに、中断させてメモを取るのをやめてほしい。
「先生。練習になりません。
聞きたいことがあったら、終わった後にまとめて答えますから。
途中で止めないでください。」
私が、怒ってそう言っても、
「好奇心が止められないんだよ。
私はもう君(の魔法)に夢中なんだから。」
なんだか不穏な響きだ。
止めてほしい。
「次に途中で止めたら、もう練習を見に来るの禁止ですからね。」
私が、強気になってそう言うと。
「分かった。
何でも君の言うことを聞こう。
君の言うとおりにする。」
(なんか言葉選びがおかしいんだよね。
でも、もう気にしたら負けだ。
気にしない。)
私たちは、そう言って練習を再開した。
それから、護衛のカイル様。
エドアルト王子に許可をもらったからか、意気揚々と学園についてくる。
そして、私がちょっと魔法を使おうとすると・・・・・
「本当に大丈夫ですか?無理していませんか?」
「セシル殿下とちょっと近いような気がします。
離れてください。」
なんて、いろいろと指示を出してくる。
「練習になりませんから、入り口のところで見ていてください。」
私はとうとうカイル様に護衛の場所を指示してしまった。
その上、練習が終わると心配性のレベルが上がる。
「お疲れでしょう?
馬車までリア様をお運びしても?」
「歩けます。大丈夫ですから。」
毎日この繰り返し。
挙句にセシル王子まで。
「まずはお茶をしてから始めようか。
おいしいお菓子があるんだよ。」
「魔術を合わせるには、親睦も大事だっていうよ。
休日にはどこかに出かけないか?」
なんて、練習と関係ないことを言ってくる。
は~~~~
果たして、無事当日を迎えられるのだろうか。
~~~~~ ◇ ~~~~~
そうして迎えた魔術競技会当日。
競技会会場には、たくさんの観覧者。
それにもまして、気合の入ったそれぞれのクラスの参加者。
熱気があふれている。
観覧席をふと見ると。
私の家族。
お父様、お母様、レオ兄さま、クラウスまでが私に向かってにこりと手を振ってくれた。
そして、王族の観覧席を見ると。
エドアルト王子様が私に笑顔で視線を向けてくれる。
(今日は、もう一人の婚約者候補のメアリー様も参加されるのに・・・)
ちょっと心配になったが、私は自分の競技に集中することにした。
学園長の言葉の後で、早速競技がスタートした。
まずは、水魔法のクラス。
ボランティア体験授業で一緒だったイアン様の姿も見受けられた。
水魔法の人たちは人数が多いため、大きな舞台を円形に囲むような位置にいる。
それぞれが水を鞭のように打ち出す。
そこに、光と音楽が重なり合う。
水の勢いが順番に強くなったり弱くなったり、一斉に強くなったり高くなったり。
その変化がとても楽しい。
観客からも大きな歓声が浴びせられた。
「素敵ですね。」
私がそう正直な感想を漏らした。
「私たちの魔法もきっと喜んでもらえるよ。
精一杯やるだけだよ。」
セシル王子も励ましてくれた。
次の、火魔法のクラス。
ベルやメアリー様もいる。
「頑張ってね。」
私が、ベルに声をかけると。
「緊張する!
でも、頑張るね。」
そう言って、舞台に向かっていった。
私たちは、控室に移動して準備に入ることになった。
「さあ、あとは練習してきたことをやるだけだ。
一緒に頑張ろう!」
セシル王子と目を合わせてうなずいた。




