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39株目 学年末の魔術競技会


もうすぐ学園に入学して1年が経とうとしている。


学年末には、魔術競技会が開かれる。


魔術競技会とは、各クラスごとに趣向を凝らして自分たちの魔法を観客に見せる。


どれだけ観客を楽しませることができるのかを競い合うものだ。


そして、それが今後の自分の進路にもつながっていく大事な場面ともなる。


もちろん私は、植物魔法のクラス。


クラスには、私のほかにセシル王子しかいない。


他のクラスでは、人数による強みを生かして、ダイナミックに見せる方法をとると思われた。


でも、私のクラスは二人だけ。


そこで、私たちはじっくりと話し合い、作戦を練ることにした。


「そうだね。では、王宮に借りている僕のところで休日にしっかり話し合おう。」


セシル王子から誘われた。


確かに、他の人たちには知られずに時間をかけて話し合うにはいいかもしれない。


「分かりました。


では、次の休日に王宮にお邪魔します。」


私が答えると、セシル王子は嬉しそうに笑顔で話す。


「その日は、おいしいお菓子も準備するよ。


楽しみだな~。


リア嬢のドレス姿も見られるよね。」


(あれ?なんかお茶会みたい?魔術競技会の相談だよね?)


不思議に思ったけど、了承した手前そのまま当日を迎えた。




~~~~~ ◇ ~~~~~


「なんて、素敵なんだ。


制服姿もいいけど、ドレスを着ているとリア嬢が更に輝いて見える。


今日は、来てくれてありがとう。


楽しい時を過ごそう。」


なんと、王宮の入り口にセシル王子が迎えに出ていてくれた。


「今日は、お邪魔させていただきます。


セシル王子様もとても素敵です。」


私も挨拶を返した。


セシル王子に案内されて王宮内を移動していると、そこにちょうどエドアルト王子の側近のルーカス様が通りかかった。


「これは、なんとも珍しい組み合わせでいらっしゃいますね。


セシル王子殿下。ヴェルデリア嬢。


今日は、どうされたのですか?」


「やあ。ルーカス殿。


今日は、魔術競技会の相談をするために、リア嬢にこちらに来ていただいたんだよ。


とても楽しい一日になりそうだ。


それでは、これで。」


セシル王子はそう言って、私に腕を差し出した。


「えっ。」


私は、一瞬戸惑ってしまった。


「さあ、どうぞ。王宮は広いからね。」


そう言われたら、従うしかない。


腕に力をかけないよう、なるべくそっと手を添えた。


集中していた私は気づかなかった。


歩いていく私たちを、ルーカス様がじっと見つめていることに・・・・



セシル王子の部屋につくと、まずはお茶を楽しむことになった。


テーブルには、所せましとおいしそうなお菓子が並んでいた。


「リア嬢の好みが分からなかったからね。


どんなお菓子がお好みかな?」


セシル王子は、お菓子を進めてくる。


「こんなにご準備いただき、ありがとうございます。


それでは、フルーツの乗ったタルトをいただきます。」


声をかけていただいたら、断るのは申し訳ない。


そうして、相談をしなければと思いながらもおいしいお菓子をいただいた。


「あの~。そろそろ魔術競技会の相談をしませんか?」


私は、意を決して声をかけた。


「あ~ごめん。楽しすぎて本題を忘れてしまったよ。


それでは、競技会の話を始めよう。」


やっと話ができると思った時ーーー


トントン。


ドアがノックされた。


セシル王子の側近の方が話をしていたが、すぐに誰かが部屋に入ってきた。


「やあ、お話し中申し訳ないね。」


そう言って入ってきたのは、なんとエドアルト王子だった。


「どうしたんだい?急用かな?」


セシル王子も落ち着いている。


「いや何。私の婚約者候補のヴェルデリア嬢が王宮にいると聞いたものだからね。


私以外の男性と二人というのも外聞がよくないと思ってね。


私も入れてもらおうかと思ったんだ。」


エドアルト王子がそんなことを言い出した。


「別に二人きりじゃないんだけどね。


まあ、別に構わないよ。


いいかな。リア嬢?」


もちろん、私に異を唱える資格はない。


「はい。考えが足りず申し訳ありません。」


一応婚約者候補としてはいけないことだったのかと今更ながら気づいた。



そうしてそれから。


植物魔法の私と風魔法のセシル様がどのようにかかわっていったら観客の方たちを楽しませることができるのか話し合った。


時折、エドアルト王子も助言をしてくれて少しずつ決まっていった。


あとは、学園で二人で練習をして息を合わせていかなければならない。


「安心してほしい。


二人だけにならないように、極力私も顔を出そう。


私がいけない時は、護衛を付けること。


ヴェルデリア嬢いいね。」


「はい。気を付けます。」


(もしかして、なんか怒られてる?)


これからは、もっと気を付けよう。



なぜか、帰りの馬車まではエドアルト王子に送っていただいた。


どっちが私を送るかで二人でもめ始めたからだ。


二人とも穏やかに話しながらもなかなかひかなかった。


最終的に、婚約者候補としてという一言でエドアルト王子に決まったのだった。



なんか、別の意味で疲れた一日になってしまった。



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