37株目 カイル様の想い
王子様がお見舞いに来てくださった後も様々な人たちがお見舞いに来てくれた。
ボランティア体験で一緒になったベル、ライベルト様、イアン様。
「大丈夫か?またすごい魔法使ったんだろう?でも、無理はだめだ。」
イアン様も心配してくれている。
「そんなに、自分一人で頑張らなくてもいい。
いつでも何でも協力するから・・・」
ライベルト様も本当に優しい。
「もう。リアったら、急にお休みになって、ずっと心配していたんだから。
会えなくて寂しかったよ。
もうこんなことにならないように気を付けてね。」
ベルが涙をこぼしながら話すものだから私もちょっと涙が出てしまった。
「みんなに心配をかけてごめんね。
もう二度とこんなことにならないようにするから。
今日は来てくれてありがとう。」
私には本当にいいお友達が出来た。
それから、オルフェウス先生。
相当怒られてから来たのか、いつもと違って髪の毛をきちんと整えてきてくださった。
こうしてみると、とても素敵な紳士に見えるから不思議だ。
「ヴェルデリア嬢。この度は、危険な取り組みに巻き込んでしまって申し訳なかった。
まさか、君の寿命にまで影響があるとは、本当になんて言っていいのやら・・・」
オルフェウス先生にも頭を下げられてしまった。
「頭を上げてください。
私も自分でやるって言ったんです。
先生の責任ではありません。
私も、もう二度とこんなことはしないと誓いました。
それでも、魔術学園での授業はこれからもよろしくお願いします。」
そう伝えた。
「これからも、じっ。いや、授業楽しみにしているよ。
ところで、今回のまほーーー」
オルフェウス先生がいつもの癖で私の魔法に興味を向けた途端。
「ん。んんっ。
リア嬢、そろそろお薬を飲む時間です。
先生は、ご退室願えますか?」
カイル様ったら、急にお薬の時間だなんて・・・・・
「そ、そうなのかい?
それでは、元気になったらまた学園でね。」
そう言って、オルフェウス先生が帰って行かれた。
「カイル様。お薬はさっき飲みましたでしょう?
急にどうされたのですか?」
私が不思議になって聞くと。
「放っておくとまた無理して魔法を使ってしまいそうで怖いのです。
お許しください。」
カイル様は、より心配性になっている。
また別の日には、オスト国のセシル王子まで来てくださった。
「リア嬢、大丈夫かい?
君がいない学園の日々は、色のない世界に迷い込んだような毎日だ。
本当に寂しいよ。」
セシル様は私の手を取り、そっと両手で包んだ。
その優しいしぐさに、胸の奥がドキッとなる。
「詳しくは知らないけれど、リア嬢のおかげでこの国が救われたんだって?
やはり、君は聖女だよ!
でも。
ーーーそれでも、無理はいけない。
僕は、君自身が大切なんだよ。」
セシル様がそんなことを言ってくる。
「あの~。
恥ずかしいのでそろそろ手を・・・・」
私が、小さな声でそうお願いしたけど。
「久しぶりにリア嬢に会えたんだ。
もう少し、こうして存在を確かめたい。」
「失礼ですが、発言をお許し願えますか?」
急にカイル様が会話に入ってきた。
「ん?君は?」
「私、リア嬢の護衛を務めます、カイル・フォン・グラーフと申します。
エドアルト王子より、リア嬢の婚約者候補の立場も守るよう申し付かっておりますので、この辺で。」
(え~。そんなこと聞いたことないけど?本当に?)
「そうか。残念だ。一応候補だからな。今日は、あきらめるよ。
では、また来るよ。」
セシル様がそう言って帰られた。
なんか最近カイル様、ちょっとおかしくない?
そう思って聞いてみることにした。
「カイル様。今少しお時間よろしいでしょうか?」
私が問いかけると、途端に笑顔になって私を見つめてくる。
「何でしょうか?リア嬢。」
「最近、エドアルト王子と競ってみたり、オルフェウス先生やセシル様を早く帰らせようとしてみたり。
私、カイル様が不敬だとお叱りを受けないか心配です。」
私が、視線を下げながらそう伝えた。
すると、カイル様が片膝をついて胸に手を当てる。
「私の一番大事な人はリア嬢、あなたです。
あなたにけがを治していただいたあの日から・・・
今度は、私があなたを守りたいのです。
どれだけ大事にしても、心配なのです。
私に一番近くであなたを守らせていただけないでしょうか?
これからも・・・・・・
ーーーーずっと。」
「えっ。」
その言葉に、私の胸が熱くなる。
騎士の誓いのような場面に、私もどう答えてよいのか分からなくなる。
「あ、ありがとう、ございます。」
やっとのことで一言だけ、答えることができた。
今の私の顔。
きっと、真っ赤だ!




