36株目 目覚めると・・・・
「リア。起きておくれ。」
ん?お父様?
「リア~。ううっ。目を覚ましてっ。・・・お願いよ。」
お母様?なぜ泣いているの?
『リアちゃん。もうそろそろ起きて!』
今度はハオルちゃん。
あ~温かい緑の光。
えっ!
なんか光が点滅し始めた。
何かあったの?
『私、怒っているんだからね。起きたらお説教だよ。』
瞼が重い。
でも、目を開けなくちゃ。
ま、まぶしい~。
あれ。誰か手を握っている?
指先をかすかに動かす。
「えっ。リア。目を覚ましたの。よかった~~~~~~」
手を握っていたお母様は、私の顔を見てまた更に泣き出してしまった。
「起きたのか。リア。ーー本当に生きてて、よかった。」
お父様まで泣いている。
なんか私、また死にそうになっていたの?
(ハオルちゃん、私何日寝ていたの?)
『十日だよ。まったく。あれほどやめといてって言ったのに。
みんながいなくなったらゆっくりお説教だよ。
覚悟してね!!!』
ハオルちゃんが珍しくすごく怒っている。
「お医者様を呼ばなくちゃな。」
お父様は、執事に命じてお医者様を手配する。
お医者様は、屋敷に待機していていただいていたようで、すぐに診察となった。
私の状態は、とりあえず意識は取り戻したけれど、体は衰弱しているらしい。
お医者様からは、様子を見るのに半年くらいはおとなしく過ごすように言われてしまった。
「そんなに長くですか?」
私が、不満気に聞いたけど、
「それほどのことですよ。分かりましたか。半年ですよ!」
お医者様にも怒られてしまった。
その後、お父様とお母様に眠っている間のことを聞いた。
私は、魔法を使った途端、鼻血を出して意識を失ったらしい。
そのまま、カイルに屋敷に運んでもらった。
お母様や光の術者に癒しの魔法をかけていただいたり、
お医者様に見ていただいたり、
ポーションを口に含ませてもらったりしたらしい。
屋敷の一部の人しか知らないけれど、ベッドに運ばれて丸一日、私がおばあさんのような風貌になったらしい。
そして、生きてはいるけど、意識がない状態で十日間眠っていたということだった。
お父様もお母様も、そのまま死んでしまうのではないかと、気が気でなかったらしい。
レオお兄様や弟のクラウスも心配そうに私の顔を見に来た。
「リア姉さま~」
そのクラウスも私に抱き着いてきて泣いている。
「まったく。無理するな。心配したんだぞ。」
レオお兄様にも怒られた。
「みんなにすごく心配をかけてしまってごめんなさい。
もうあんなことしません。
しばらくおとなしくしています。
本当にごめんなさい。」
私は何度も謝った。
夜、やっと部屋で一人になったとき、ハオルちゃんとゆっくり話した。
(ハオルちゃんが言っていた私が犠牲になるって意識がなくなって倒れること?)
『私が渡したあの種は、神様の力をお借りしたもの。
その代償で種一粒分だから一年、リアちゃんの寿命を削っちゃったんだ。
その影響で一日だけおばあちゃんになっちゃったんだよ。
鼻血もたくさん出たんだよ。』
(そんなことがあったんだ。そうか。寿命が1年か。あまり実感はわかないな?)
『何言ってるの?大変なことなんだよ。
緑ちゃんなら命の大切さ、分かっているでしょう?』
(そうだった・・・私病気で早く死んじゃったんだ。だから今度は命を大切にしないと。)
『やっとわかってくれたね。
もう二度とこんなことしないでね。』
(わかった。大事なこと教えてくれてありがとう。ハオルちゃん。)
私は、ハオルちゃんにしっかりと約束をした。
私が倒れて3か月が経つ頃。
エドアルト王子様がお見舞いに来てくださった。
今まで、お父様もお母様も家族全員、そしてなぜかカイル様まで一丸となって、誰の訪問も許さなかったらしい。
大事な娘を殺されるところだったと言って・・・
何度も足を運んでくださったらしいから、ちょっと申し訳ない。
王子様の訪問だというのに、私の部屋にはお父様とお母様、護衛のカイル様まで同席している。
その上、私はベッドの上。
ベッドから出てはいけないと、みんなに言われているから。
「今日は、会ってくれてありがとう。
まずは、謝らせてくれ。
君を危険な目に遭わせてしまい申し訳なかった。」
王子様は深く頭を下げた。
「そ、そんな。頭を上げてください。
生きていますから。
ちょっと安静にしていれば治りますから。」
私は、あわてて声をかけた。
「ちょっとじゃないぞ!!」
お父様!今はそんなこといいから。
「それに君の寿命だって・・・・
もう二度とそんなことはさせないと誓う。
今は、しっかり治して元気になってくれ。
私ができることは何でもするから。」
「あら、リアちゃん。よかったわね。
宝石でもドレスでも買ってもらえば。」
お母様までなんて不敬な。
「もちろん。すぐに手配する。」
王子様まで。
「いえ。今のところ着ていく機会もありませんから。」
「そうですね。それじゃあ、私が贈りましょう。」
せっかく断ろうと思ったのに、なぜかカイル様が贈ろうとしてくる。
(おかしいって。何よそれ!)
「いや。これは婚約者の役目。私が贈るよ。」
王子様も何を張り合っているんですか?
「まだ婚約者じゃないぞ。」
もうお父様!
それよりも、私の寿命のこと。
実はハオルちゃんがカイル様に伝えて、家族そして、王子様やオルフェウス先生にまで伝わったらしい。
(だからみんなに余計に心配をかけている。もう無茶はしませんって!)
その後、私が倒れた後の話を聞いた。
私の育てた新種の薬草を使って、光の術者の方たちにポーションを作っていただいた。
もちろんお母様もだ。
それをたくさんの水で薄めたため、多くのポーションが準備できたらしい。
1か月かかって病気のはやった村のみんなに届けることができて、無事病気の蔓延を食い止めることができたということだった。
「国のみんなの役に立ったのなら、本当によかったです。ほっとしました。」
私が、大きく息を吐いた。
「君はーーーまるで聖女のようだ。
本当にありがとう。」
王子様は、私の手を取り、神妙な顔で感謝の言葉を伝えてくれた。




