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31/55

31株目 協力してボランティア成功を目指します!


まずは、指定されていた畑一面を見渡す。


植物は少し育ってはいるが病気なのか色が茶色に変色してきている。


「何だよ。この畑。


もう絶望的な状態じゃないか。」


イアン様が怒り出す。


「これ、ほんとにどうにかなるのか?」


ライベルト様も懐疑的になっている。


「じゃ、まずはベル。


この畑一面を火魔法で一面焼き払って?


あなたの魔力量ならできそうなんだけど、どう?」


私は、ベルと仲良くなった時の火の暴発事故を思い出す。


それだけの魔力量があればできそうだ。


「任せて。


あれから制御の仕方もしっかり勉強したから大丈夫よ。


それじゃあ、いくわよ。


火の精霊よ。我に力を与えたまえーーーーー」


そう言った途端。


畑一面炎に包まれる。


「えっ。こんなに一面焼け野原にしちゃって大丈夫なのか?」


イアン様も心配になってきたようだ。


「では、イアン様。


この畑一面、水でしっかり炎を抑え、大地を湿らせてください。


よろしいですか?」


私はイアン様の目を見つめて頼む。


「まあ、このままってわけにもいかないからな・・・・


それじゃあ。


水の精霊よ。我に力を与えたまえーーーーー」


イアン様が詠唱すると、


畑一面に水が分散されてまるで大量の水が降ったかのようになる。


「さすがにこの量の水は疲れるな。」


イアン様が地面にひっくり返るような姿になる。


「お疲れ様です。


後は見ていてくださいね。」


私はそう言うと、ライベルト様に向き合った。


「ライベルト様。


お待たせしました。


それでは、土魔法でこの畑全体をよく撹拌して耕してください。」


「ようやく私の出番か。


土の精霊よ。我に力を与えたまえーーーーー」


ライベルト様が詠唱すると、土が勝手に舞い上がり撹拌されていく。


「魔術学園の生徒さんたちは、なんだかすごいことやるね。


こんなに簡単に耕しちまうなんて・・・・・」


畑にいた男性も私たちの魔法に驚いているようだった。


「最後は、リアの番ね。


しっかり頼むわね。」


ベルに励まされて、私も前に出る。


この実習の成功は、私にかかっている。


私は、畑の持ち主に事前にもらっていた小麦の種を畑に蒔いていく。


さすがにこの作業は、畑の持ち主やみんなにも手伝ってもらった。


「こんな一度焼いた畑なんて大丈夫なのかい?」


畑の持ち主も不安げだ。


「一度焼いたのには理由があるんです。


病気が流行っているっておっしゃっていましたよね。


病気をしっかりなくすために一度焼いたんです。


きちんと土に混ぜることで栄養のある正常な土に戻ります。」


私は、ハオルちゃんに教えてもらったことを伝えた。


「へえ~。


それは知らなかったな。


これで成功したら、これからはその方法を使ってみるよ。」


畑の持ち主も半信半疑ながら、興味深く見ている。


「でも、注意してもらいたいこともあります。


同じ場所の焼き畑は一度にしてください。


そして、数年使ったら少し畑を休ませるか、栄養をたしてあげるかしてください。」


これから使っていく畑だ。


数年後のことまで考えなければならない。



さあ~


準備は整った。


私は、両手を組み目を閉じる。


(お願い。この寒い土地でも育つ丈夫な小麦が育って!)


私が心の中で願うと、体から緑の光があふれて畑に広がっていく。


「なっ・・・・・・」


誰もが驚きに目を見張る。


畑から一斉に芽を出し、すくすくと伸びていき、やがて黄金の麦の穂と変わっていった。


「これは・・・・・」


誰も、一言も発することができなかった。


目の前で起こったことが信じられないのだ。


黄金の麦の実った畑に風が吹き、さやさやと心地よい音だけが流れた。



「こんな立派な麦は見たことがない。


すごい!すごいぞ!!」


畑の持ち主たちもやっと現実に目を向け始めた。



「お前の魔法・・・・・すごいんだな・・・・」


イアン様が下を向いて小さな声で言った。


「大したことない魔法なんて言ってしまってーーー


そのーー。悪かった!」


ライベルト様まで恥ずかしそうに頭を下げた。


「やっとわかったのね。


仕方ないから許してあげるわ。」


なぜか、ベルが私の代わりに答えている。


「お前じゃないだろ・・・・」


イアン様も突っ込みを入れる。


「ふふふふ。」


みんなの会話を聞いて、私もおかしくなって笑ってしまった。


それにつられて、みんなも笑い出す。



最初のぎくしゃくした関係が嘘のように、私たちは打ち解けて話ができるようになった。



収穫が終わった麦について、私は大事なことを告げた。



「今回収穫した麦は食べないで種として使ってください。


この麦は、寒いところでも育つ麦の種です。


この領地にぜひこの種を広げて、麦の育つ領地に変えていってくださいね。」



農民だけでなく・・・・



ブリュンヒルデ公爵家の領地全体が豊かになっていくように・・・



ーーーー願いを込めて



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