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29株目 けが人を助けます!



私たちが不安になりながらも待っていると


オルフェウス先生が急いで戻ってきた。


「ヴェルデリア嬢。別な教室でけが人が出た。


そのポーションすぐに飲めるように準備してくれ!」


オルフェウス先生の言葉に心臓がどきんとなった。


けが人って、大丈夫だろうか?


体が怖くて動かなくなる。


『リアちゃん。しっかりして。


今こそリアちゃんのポーションの出番だよ。』


ハオルちゃんが私の意識を引き戻してくれた。


(そうだ。けがをした人は私のポーションを待っているんだ。


しっかりしなくちゃ。すぐ準備しよう!)


震える手で薬草を取り出し、カップにポーションを注ぎ、はちみつを混ぜる。


そして、それをオルフェウス先生に渡した。


「ありがとう。助かるよ。すぐ届けるからーーーー


今日の授業はおしまいだ。それでは。」


そう言って、オルフェウス先生はまた飛び出していった。


「これ以上私たちにできることはないね。


今日は帰ろう。


馬車まで送るよ。」


セシル様はそう言って、私の手を取ってくださった。


実は、さっきから不安で仕方がなかったため、心強い。


そうして、私は屋敷に帰った。




~~~~~ ◇ ~~~~~




その頃。


けがをしたのは火の魔法の教室の女子生徒だった。


魔法で炎を出した時、予想以上に大きな炎になってしまった。


驚いて、向きを変えたところ他のものに燃え移ってしまい、暴発してしまった。


腕や足にかなりのやけどを負ってしまった。


あんなにひどいやけどを負ってしまえばーーーー


きっと痕は残ってしまうだろう・・・


本人もショック状態で気を失ってしまったようだった。


そこに、現れたオルフェウス先生。


一度姿を消したかと思ったらまた現れた。


手に、緑のポーションをもって。



そのポーションを口に含ませた。


気を失っていたため、更にやけどしたところにもポーションをかけた。



ーーーーーー



すると


みるみるやけどの跡が消えていき・・・・


本人もゆっくりと目を開け、意識を取り戻していった。



それを目にした、先生や生徒たちはあまりの効き目に目を見張る。


「ポーションって、こんなにすごい効き目なんだな。」


「あの先生は、確か・・・・・・」


「宮廷魔導士のオルフェウス先生だ。


さすが、宮廷魔導士だな。」



誰も、そのポーションを作ったのがリアだとは気づかない。



(わざわざみんなの前で公表することでもないな。


まあ、やけどした本人には真実を話そう。)



オルフェウス先生は、やけどを負った生徒を連れて救護室に向かう。



「大丈夫かい?痛みは残っていないかな?」


オルフェウス先生が聞くと、


「はい。気が付いたら痛みも何も残ってなくて・・・・」


その生徒はマリーベルといった。


「でも、大きなやけどを負ったことには違いないから救護室でしっかり確認してもらおう。」


「はい。本当に何から何までありがとうございます。


私に高価なポーションまで準備してくださって・・・」


マリーベルがお礼を言う。


「そのことなんだが・・・・・


そのポーションを作ったのは、私のクラスの生徒なんだ。」


「えっ。先生のクラスは確か・・・・・・」


「植物魔法のクラスだよ。


つまり、ヴェルデリア嬢がそのポーションを作ったんだよ。


明日にでもお礼を言うといい。」


救護室につくと、オルフェウス先生が状況を説明した。


「まるで、やけどなんてなかったかのようだ。


信じられないほど素晴らしい効き目のポーションだね。


そんなポーションがこの学園にあったことに感謝するんだね。」


救護の先生までそんなことを言う。


「診ていただいてありがとうございます。


必ず明日にでもお礼を言います。


今日はありがとうございました。」


マリーベルがお礼を言うと、


「やけどしたことは事実だから、しばらくは静かに過ごすんだよ。」


救護の先生に見送られながら、マリーベルは学園を後にした。




~~~~~ ◇ ~~~~~




次の日


私が教室に向かうとーーー


教室の入り口で待っている令嬢がいた。


「ヴェルデリア様でしょうか?


私、火の魔法のクラスのマリーベルと申します。」


そう言って、マリーベル様は深く頭を下げた。


「あ、頭を上げてください。


私は、ヴェルデリアです。


急にどうされたのですか?」


私は訳が分からずにしどろもどろになってしまう。




よくよく話を聞くと・・・・


私が昨日作ったポーションを飲んで、やけどのけがが治ったということが分かった。


「それは・・・昨日は大変でしたね。


でも、やけどの方はもう大丈夫なのですか?」


私も心配で聞いてみる。


「ヴェルデリア様のおかげで、本当に・・・


本当に、何も後遺症がないのです。


ーーーー貴重なポーションを作ってくださり、ありがとうございました。」


マリーベル様は、涙を流さんばかりの表情で私の手を握ってくる。


「私の作ったものが役立ったのなら、本当にうれしいです。


でも、無理はしないでくださいね。


よくなって本当に嬉しいです。」


私も、マリーベル様の手を握り返した。


「一つお願いがあるのですが・・・・」


マリーベル様が上目遣いで言いにくそうに私を見つめてくる。


「なんでしょうか・・・・・?」


全く予想がつかない。


もう少しポーションが必要だとか?


「ーーー私とお友達になってもらえないでしょうか?」


自信がないのか、だんだんと声が小さくなっていく。


私は驚きのあまり、固まってしまった。


「えっ。ーーーーおともだち?」


「ご、ごめんなさい。


無理ですよね。


わ、忘れてください。」


今にも回れ右をして、走り去ってしまいそうな勢いのマリーベル様。


「ま、待ってください。


ぜひ、ぜひ、お願いします。」


私も必死になって引き留めた。




そうして、私に初めてのお友達ができた。




(うれしすぎる・・・・・・)


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