27株目 学園での授業が始まりました
「くれぐれも無理はなさいませんように・・・」
今日の護衛はカイル様だ。
カイル様は、けがが治ってから少し!?
いえ、かなり私に過保護になった。
なぜかハオルちゃんの声が聞こえるようになったからか?
ハオルちゃんと結託して、私が無理をしそうになると止めてくる。
『そうだよ。リアちゃんは誰かのためになると自分のことを考えないんだもの。
私は、学園でも常に近くにいるからね。』
ハオルちゃんまで、過保護に注意してくる。
「私は行きと帰りだけですので、心配でたまりません。
どうにかついて行けないか交渉したのですが、どうしてもダメでした。
無念です。
ハオル様、よろしくお願いします。」
カイル様は、ハオルちゃんが植物の精霊だと分かると次第に呼び名が”ハオル様”と変わっていった。
そうして、カイル様とは学園の門の前で別れた。
入学式だけは、別だけど。
普段の授業の時は、行きと帰りだけの護衛となったのだ。
そうして、私がたった一人きりの教室に入ると・・・・・
なんと、先客がいた。
金髪に水色の瞳。
優し気な顔立ちのとても整った男性。
その男性が笑顔で近づいてきて・・・・
「私は、オスト国第一王子のセシルだ。
今日から一緒に学ぶことになった。
たった一人のクラスメートだ。
気軽に接していただきたい。
私のことはぜひ、セシルと呼んでほしい。」
そう言って握手を求められた。
「私は、ヴェルデリア・フォン・グランツと申します。
では、私のこともリアとお呼びください。
よろしくお願いいたします。」
そう言って握手を返した。
「リア嬢。お昼は食堂に行かないか?」
お昼になり、セシル様に誘われた。
断るのもどうかと思い、一緒に食事をするために移動した。
すると、廊下の端々からこちらをちらちらと見つめながらひそひそと話声が。
「えっ。どういうこと?今度は別の殿方?」
「確か、エドアルト王子の婚約者候補よね。」
方々からやっかみの視線を感じる。
別に何も悪いことをしているわけではないのに・・・・
私は、小さくため息をついた。
「リア嬢は素晴らしい人なのに誤解されているんだね。
リア嬢の魔法のこときちんと知ってもらいたいね。
これから、私もいろいろと協力するよ。」
セシル様は、私の魔法のことをよく知っているのか、そんな言葉をかけてくれる。
この学園での大切な味方になってくれるようで、嬉しくなる。
「そう言っていただけるだけで、ありがたいです。
これからもよろしくお願いします。」
私は、そうしてセシル様とお昼をいただいた。
その後、セシル様が別な用件で移動されたため、私は一人で教室に向かう。
その途中でーーー
「ちょっとよろしいかしら・・・。」
一人の令嬢に声をかけられる。
あの方は?
ーーーー入学式の時、私に鋭い視線を投げかけていたメアリー様の近くにいたライラ様だ。
「どういたしましたか?」
私が答えると、
「私は、ライラです。
少しお話したいことがございます。
こちらにおいでいただけないでしょうか。」
ライラ様に誘われた。
(どうしよう?まだどんな方かわからないし・・・)
『リアちゃん大丈夫だよ。危険はないみたい。ただ、何かあったら私がカイル様に連絡するから・・・・』
なんと、ハオルちゃんたら、カイル様と意思疎通ができるなんて・・・・
(もしかして、カイル様。心配でどこかに待機している?まさかね。)
実は、そのまさかである。
カイルは心配のあまり、オルフェウス先生と連絡を取り、教官室で待機しているのであった。
「あまり時間はございませんが、少しなら・・・」
私はそう言って了承した。
ライラ様についていくと、中庭の木陰の辺りに二人の令嬢が待っていた。
案の定。
メアリー様とイライザ様だった。
「どういったご用件でしょうか?」
私は冷静に話し出した。
「単刀直入に聞きますわ。
ヴェルデリア様は、王子様の婚約者候補ですよね。
なのに、毎日違う殿方を連れているのはなぜですの?」
鋭い視線で私を睨みつけるのはイライザ様だ。
「別に違う殿方を連れ歩いているわけではありません。
昨日の方は、私の護衛をしている方です。
今日ご一緒させていただいたのは、同じクラスの方です。
お誘いを受けたので、ご一緒させていただきました。」
私は、事実のみを話す。
セシル様のことはまだ話していいのか判断できなかったため、何も言えなかった。
「昨日の方は、本当にただの護衛の方ですの?」
なぜか、メアリー様はそこを気にされていた。
「そうです。私には護衛の方がお二人ついてくださっています。」
そう答えるや否や。
「ただの植物の魔法のくせに・・・・」
ライラ様が敵意むき出しに話す。
「そうよ。もともと王子様の婚約者候補はここにいらっしゃるメアリー様でしたのに・・・・・」
「本当に火の魔法の第一人者でいらっしゃるメアリー様の方がふさわしいですわ。」
二人で交互に私を責める。
(私だって好きで婚約者候補になったのではないのに・・・・・)
そう思ったけれど、正直にそんなことを言うことはできない。
「私は、あくまで婚約者候補ですので・・・・
メアリー様の方がふさわしいと判断されればそうなるのではないでしょうか?
用件がそれだけでしたら、お昼休みが終わりますので失礼させていただきます。」
私は、そう言ってその場を後にした。
三人の鋭い視線を背中に感じながら・・・・・




