21株目 婚約者候補に?
その頃、王宮では・・・・
「ヴェルデリア嬢を襲った隣国の密偵は確保できたのか?」
王はエドアルト王子に尋ねた。
「もちろんです。やはり隣国からヴェルデリア嬢を拉致しようとしていました。」
王子も困った顔をしながら答えた。
「やはり、ヴェルデリア嬢の価値に気づいているのか?」
「どうやらそのようです。今のうちに手を打たないと大変なことになるかと・・・」
王子が腕を組んでため息をつく。
「さらに、あのポーションだったか?更に価値が上がるではないか?
もしそんなヴェルデリア嬢を他国に取られるようなことになれば・・・・・
我が国としても大変な損失になる。」
王も困ったように眉を下げる。
「まずは、ヴェルデリア嬢の提案通り光魔法の術者にポーション作りができるかどうか試すことは必要かと・・・・」
王子が提案する。
「そうだな。そのように進めてヴェルデリア嬢だけが目立つことのないようにしていこう。
その上でなんだが・・・・・」
王は言いづらそうにためらいながら話す。
「ヴェルデリア嬢をお前の婚約者候補にするしかないのだ。
王族の婚約者候補に手を出そうとする者はいないだろう。」
それを聞いて、王子が口を引き結んで困ったように話す。
「しかし、私には・・・
すでに婚約者候補として、メアリー・フォン・ブリュンヒルデが存在する。
そこは、どうしますか?」
王子が目を細めて言う。
「そこなんだが、ヴェルデリア嬢の価値を認めたうえでーー
王命で婚約者候補に加えるということにするしかない。
そこは、お前にも気を配ってもらいたい。
二人ともあくまでまだ候補だという立場で。」
王は苦渋の決断だと言わんばかりに目をつぶる。
「分かりました。そのように取り計らいます。」
王子は、仕方なく了承するという表情を見せた。
しかし、心の中では・・・・
(私の思うようにことが進むなんて。)
全く誰にも悟られることがないようにその場を後にする。
そうして、ヴェルデリアは、王子の婚約者候補として名を連ねることになった。
その知らせを聞いたお父様は、あまりの展開に頭を抱えることになった。
「候補とは名ばかりの王族に囲われているだけではないか。
リアには、愛するものと幸せになってもらいたかったのに。」
そう言って、お母様の顔をちらっと見る。
「そうね。何とかならないのかしら・・・・」
お母様も心配そうに私の手を握ってくる。
お父様は、貴族としては珍しくお母様とは恋愛結婚だったらしい。
「私も、そんな候補だとしても王太子妃となる可能性があると考えただけでも震えてきます。」
私は、両腕を抱えるようにした。
「どうしてそんな話になったのでしょうか?」
私が聞くと、お父様は、ため息をついた。
「ーーーーそれは、リアの魔法の希少性だろう。
それだけ”お前の魔法の価値がある”ということだ。
一番には、他国に取られたくないということなんだろう。
ちなみに王命だから、悔しいことに断ることもできない。」
お父様も悔しそうに唇をかむ。
(なんか大変なことになっちゃったな。
前世から一度も恋をしたことがないうちに婚約者候補か~)
なんかぴんと来ない。
(でも、まだ候補。
しかも王子には、もともとの婚約者候補がいるって話だよね。
だったらその方が本命かな?
私は、ただの押さえでしょ。
そのうちお払い箱になるんじゃないのかな?)
今考えてもどうにもならない。
私は、楽観的に考えることにした。
『そんなに簡単に手放してもらえるのかなぁ?』
ハオルちゃんが小さな声で呟いていた声は聞こえなかった。




