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ドラネコ砲第二弾

西高祭も終わり、学校も再び授業が再開する。

本来ならば受験に専念する予定だったのだが心のどこかに暗闇を感じる。

それは、昨日のローラースケート場の件もあって二年生応援女子で典型的なクラスの情報通というか血の気軍団とも仲が良くおせっかいな伊藤浩美(通称ヒロミ)たちが由紀たちに急接近していた。


由紀も元々は一年生女子のリーダー的存在で八方美人だからヒロミとは相性が良さそうである。こういうところが仮に長瀬のことを好きになっていなくても、由紀とはせいぜい65点ぐらいの仲でそれ以上にはなることはないと思っていた所以(ユエン)である。


ヒロミが由紀たちに聞きたいことは想像が付く。

昨日のローラースケート場で僕と由紀、ハジと松田さんが一緒にしてるのを見て興味が沸いたのだろう。

特に僕は長瀬も知っていたように難関大学を一年生の頃から目指していて、普段は女子と話すこともないので男女交際には全く興味はなくクラスの中で最もそういったものに興味がない人物と思われていたのは分かっていた。


ただ、西高祭が終わったので、後は長瀬とだけはあのまま西高祭の感じでいたかった。

でも、ヒロミたちが介入してくると、一年生とのことでなんかしつこくあーだこーだとなりそうで気分が憂鬱だった。

実際、昨日を機にそれまであまり話したことのないクラス女子から結構安易な感じで声を掛けられるようになった。

元々、話し掛けてくるのは長瀬しかいなく、こちらから気楽に話せるのも長瀬だけ、それで充分だったのに。


西高祭の実行委員だったので残務処理がまだ少しあり、一人で歩いていたら偶然由紀たちのグループが校庭の隅に集まっていた。しかも、あの「野良犬っぽい」お姉さんも一緒に。

正直、暫くは顔を合わせたくないなぁと思っていた時だったのだが、なにを思ったのかドラネコがまたしてもこちらを見付けると照準を合わせて再びドラネコ砲が炸裂した。


「由紀ちゃん~、先輩が告白に来たよ」と大声で叫ぶ。


『おまえ、昨日から想像で勝手なことばかり言うなよ』と思ったけどもう遅い。

と言うか、由紀は由紀でなにを思ったか走って逃げていった。

なんじゃこれとは思い、内心唖然としていた。どうして、ここまで勝手に彼女たちは思い込みをすることが出来るんだろう。

気のせいかペコは割りと冷静でいると言うか少し心配そうな顔をしている。

由紀とドラネコが暴走し始めたのを気付いていたかのように。


仮に長瀬と接近していなくても由紀を選ぶことはなかった気はする。

あの夜ペコとかなり際どい話しをしていて「昼はおとなしくて夜は大胆な」、これが大人なら黒沢年男の歌にあるような「昼は淑女で夜は娼婦のような」ペコとの方がなんか通じ合ってた気がしてた。もちろん、長瀬が90点で由紀が65点ならば72点ぐらいの仲のような感じではあるけど。


ペコと気のせいか目が合った気がした、無意識でこちらは気にしてないよみたいな表情をするしかない。

とにかく、ここを離れなきゃと思ったらドラネコが再び現れた。

「お魚咥(クワ)えたドラネコ」為らぬ、由紀を咥えたドラネコがやってきた。


「先輩~、由紀ちゃん捕まえたよ」って。


きっと、ドラネコは今、ヒーローのような気持ちでいるんだろうな。それとも、すっかり正義の味方にでもなっているのだろうか。


この時、心から思った。決して、ドラネコに悪意がないのは分かっているけどこう思わずにいられなかった。

『おまえ、いい加減にしないとホントに殺すぞ』と。


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