公開処刑
と言ってここで帰る訳にもいかず少し遅れて我がブロックに合流。
もう既に2年生の応援男子である血の気軍団と1‣2年の応援女子はいくつかの組み合わせで一緒にローラースケートをしている。
そして、気が付くとハジもうまく松田さんを誘って一緒に手を握ってローラースケートをしていた。
ここまでうまく行ってるならもう大丈夫かと少し安堵。
でも、改めてハジを見ていると血の気軍団はともかく普段女っ気がない我々が一年女子と一緒に手を握っていると、確かになんか公開告白をしてるみたいだなぁとは思える。
と言うことは、僕が由紀と一緒にしてたら皆はこれを「公開告白」と見做すのだろうな・・・
今日はもうスケート場には入らず、このまま外野席で見てるだけにしようかなと思っていたら・・・
由紀が「先輩~」と言って手を出してきた。
昨日までは距離感があったし、実際に僕が好きなのは長瀬なのは西高祭の初日に気付いたばかりである。
でも、なんでだろう。急に由紀も殊勝で可愛い年下女子を演じているのか、それともホントは信頼してくれていたのだろうか。
どちらにしても、もうこれ以上ごまかすことは出来ない。
僕と由紀は「公開」でローラースケートを始めた。
でも、やっぱり心境は複雑だった。本当にこれでいいのかなぁって。いつもと違い、流石にこの時は頭が回らず無口になってしまった。
数周で一緒に回るのは終えた。
この心理状態ではやはり由紀にも申し訳ない。ちょっと独りになりたかった。
トイレに行き、暫くスケート場のリンクから離れた。
ゆっくり、戻って来たところ別の光景を見て目を疑った。
血の気軍団の中でも背が高く、もっとも熱血漢ぽくてモテそうな村瀬が由紀と一緒にローラースケートをしている。
今日は朝からいろいろあり過ぎて頭の中が渋滞して現実が追い付いてこない。
まぁ、これって助かったといえば助かったのかなぁという気持ちと由紀ってやっぱり客観的に見て可愛いのかなぁという気持ちとなんで村瀬がわざわざまるで邪魔するかのようなことをするんだろうと不快感が混じる。
血の気軍団の男は確かにいろいろな女子と一緒にローラースケートをしていたが相手は同じ応援だからなんとなく理解出来る。
後から、村瀬と由紀は同じ中学で由紀には(本当の)お姉さんがいて村瀬と同級生だったから誘ったのは知ったけれど、でもそれなら会話だけで充分なはずである、もしホントに由紀のことを僕が好きになっていたらまるで邪魔をしてきたかのように感じる。
皆から見て村瀬が由紀を奪っていった。先程までの「公開告白」が一転して「公開処刑」のように周りは思うだろう。
もっとも、長瀬がいたら血の気軍団は同じ応援の長瀬を誘うだろうし、僕は僕で長瀬に声を掛けたかもしれないから多分誰から見ても混沌とした状況になっただろう。
今日無事に過ごすことが西高祭の最大の目標だったのに、最後の最後で自分自身収拾がつかなくなった。
今日は最後に僕はハジやミスターと一緒に由紀たちに今までのお礼でも言おうと思っていた、でも由紀とローラースケートをしてたときは僕の態度は心ここにあらずみたいな態度でその後の由紀は村瀬と一緒だった。
このまま、帰りたい気持ちはあったけどちゃんとした方が良いのかなと思って、少し無理して由紀たちに名古屋で有名なラーメンと甘味の店である「スガキヤ」にでも行こうかと聞いたが「今日はもう疲れた」とのことで、結局なんか気まずい感じで僕の西高祭と一年生とは終わりを迎えた、




