点と線
そう言われた瞬間に先日のラシックの光景が走馬灯のように駆け巡った。
そして、まるでドミノ倒しのようにパタパタと頭と心の中でドミノが倒れていった。
最初の起点はラシックのアンジェリーナ。
あの日、ラシックのアンジェリーナを見た瞬間に記憶が10年ほど前に遡った。
そして、このドミノが倒れた瞬間に現れた次のドミノはパリ本店のアンジェリーナだった。
キラキラしたあの店でのあのバカでかくて甘々のモンブランとホットショコラのドミノ。
日本人なら一日で糖尿病になるんじゃないかと思えるほどの。
そして次のドミノはパリに行くきっかけとなった里江のこと。
何もない家で暮らしていて、ケーキを買っていっても食べる食器も持っていなかった里江は今は幸せになったのかなって。
次のドミノはパリから帰ってきて見た河内さんのホワイトデーのメール。
あれを見て河内さんに好印象を持った。そして、こういう人はきっと良い人に選ばれるんだろうなって。
更に次のドミノは、以前河内さんと一緒にエレベーターに乗った時に「飲みに行くんだ」と言われて「誰と?」と聞きそうになってセクハラかなと思って言えずにいたら「ホラさんとね」って言われて、この人って僕の心が読めるのかなって思ったこと。
その次のドミノは先日『(未だ独身の)河内さんが【奢ってよ】って言えば男ならそうそう断る人はいないと思うんだけどな。俺が仲良かったらそう背中を押してあげるのに』って思ったこと。
正にその言葉を「知らないどこかの男」でなく、今ここで僕に言ってきた。
やっぱり、こちらの心が読めるのだろうか?
こんなにピタリと言葉が一致するものだろうか。それとも、ほぼ同世代なので思考が実は似ていて、お互いその言葉のやり取りを過去の人に対して普通にしてきた同じ背景を背負っているってことなんだろうか。
そして、最後のドミノに到着し、それがゆらりとそしてパタッと倒れた。
それまでの独立した点としての存在でしかなかったことが次々と倒れて線となって一つになる。
点と線が繋がった瞬間だった。
その最後のドミノが倒れて線となって浮かび上がった光景はアンジェリーナの後にラシックで見た「アイスモンスター」の店舗だった。
普段はSFとかファンタジーものは現実離れしてあまり読まないし興味がない。空想物はあくまで空想物と覚めた目で見ている自分がいるから。
なので、本を読むとしても実在モデルがいるフィクションの形をした事実上のノンフィクション経済小説とかが多い。後は、もろにノンフィクションの実在ものや歴史もの。リアリティがないと頭に入って来ないから。
テレビドラマとか映画だとSF系や空想系などの類は敬遠してしまう。
だから、ディズニーやジブリの世界も実はそれほど面白いとは思えなかった、子どもや孫が楽しんで見てるのを楽しんで見るって感じ。
でも、今回だけは頭の中で一瞬にして電光石火でいろいろな出来事が頭の中を駆け巡った。
まるで空想小説かのように。
だから・・・
あの時、「奢ってよ」と言われて、1~2秒後の間の後に一瞬にして頭に浮かびあがり、左手にいる小柄な河内さんを横目で見ながら出てきた言葉が
「良いよ・・・アイスモンスター・・・アイスモンスターに行く?」
10年ほど前に思った『キースマンハッタンのケーキでもグラマシー・ニューヨークのケーキでも俺が仲良かったらいくらでも買ってあげるのに・・・』が本当に実現する日が来るなんて今まで想像もしていなかった。




