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プラスとマイナス

バレンタインデーの盛り上がりには欠けるものの、ホワイトデーのイベントも百貨店では定着しているのでお菓子類を買いに来る男性もチラホラいる。

ただ、ホワイトデーは日本発祥の習慣のせいか「不二家」がビスケットやマシュマロ、キャンディ等を「お返しの贈り物」として宣伝販売したのが起源だの全国飴菓子工業協同組合の「キャンディ拡販説」だのマシュマロ菓子で知られる福岡市の老舗菓子屋の発案だの所説ある仕組まれたイベントが基だからこっちとしては何を買っていいかの実はよく分からない。


ラシックの地下一階に降りて行くと「アンジェリーナ」が近くにある。

ここはパリにあるカフェが本店でモンブランとショコラショー(ホットチョコレート)でとても有名。

ただ、名古屋のアンジェリーナはモンブランのテイクアウト専門店だったのとサイズ的にはパリの大きさとは違い日本人向けサイズになっている。まぁ、パリのカフェが日本に出店するとは思えないから日本のどこかの会社がFC権を買って運営してるんだろうけど。


アンジェリーナを横目に見ながら

『パリのアンジェリーナのモンブランは超ビッグサイズの甘々で、イートインの名物ホットショコラも超甘々だったなぁ』

とふと思い出しながら。


『ん・・・、そう言えば、里江と別れたショックもあってあの時パリに行ったんだよな・・・

もう10年ぐらい前のことかぁ、懐かしいな。里江はあれから幸せになったのかなぁ。

もうすぐ、ホワイトデーだよな・・・

あれ?

そうそう、河内さんが昔、ホワイトデーで部員にお礼のメールしてたよな。

あの時に河内さんって良い子だなぁって思って、里江が河内さんみたいな人なら良かったなと思ったんだよね。』


もういまでは里江のことを思い出しても胸が痛くならずに良い思い出の一里塚となっている。


『あんなホワイトデーのお返し程度で河内さんは喜ぶなら、オイラが仲良かったらいくらでもケーキを買ってあげるのに。こんな子はきっと幸せな結婚するんだろうな・・・ってあの時は思ったけど、未だに河内さんって独身だから不思議だよな。

可愛いんだから【奢ってよ】って言えば男ならそうそう断る人はいないと思うんだけどな。俺が仲良かったらそう背中を押してあげるのに。それとも、なにか事情でもあるのかなぁ』


そんなことをアンジェリーナのモンブランの前で思いながら、奥まで歩いていくと台湾のかき氷店「アイスモンスター」が目に飛び込んできた。


ところで、あのホワイトデーのメール以来、河内さんのことはプラスイメージしかなく、実際二人で並んでエレベーターから会社に行くときはまるで涼葉と一緒に歩いているかのようだったが、洞本さんと一緒にいるときの河内さんは時々全然違った感じになる。


非常階段には業務用エレベーターが一機あって、宅配便業者が主に使うけれどお昼休みの時などこちらの出口のほうが使い勝手が良いのでよく使っていた。

その日もその業務用エレベーターを使おうとしたら河内さんと洞本さんが先に待っていた。

こちらの姿を見るな否や、河内さんが「階段で行ってよ」と言ってくる。


そのまま黙って非常階段で一つ降りて下の階から乗って「あれ?奇遇だね」とでも言おうかと思ったけれど、まぁいいかと一緒に乗り込む。

河内さんより先に降りたのだが、1階の非常用出口の扉が重いので力を抜いたら河内さんの前で閉まりそうになった。いつも、従業員出入口では先に入る河内さんがわざと閉めるのでその仕返しでは決してないのだが「感じ悪い」と言ってくる。

あまりにもスムーズに悪態をついてくるので、こっちが本来の河内さんなのかな、それともホントは朝に一緒にエレベーターから事務所まで行くのは自然にそうなったと思っていたけど実は嫌々で関わってはダメだったのかなと思っていたら、その数日後にあった送別会で更に別の出来事があった。




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