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昼顔

支社にいる部の人数は40名ほどで、テーブルは三人掛けを横三列、縦六列程です。

だいたい、こう言った説明会は後ろから埋まっていき、今回も前の方が割りと空きが多い。


会議直前か会議が始まってから入ってきた河内さんは、なにを思ったか僕がいた最後尾の左列の空いた席にちょこんと座った。


まぁ、真ん中に座るなら一番後ろの方が入り易いのは分かるし考えすぎや自意識過剰かもしれないが、つい先日「LINE教えてよ」「やだねー」と言った会話を交わした人の隣にわざわざ座るだろうか、他にも空いている席はいくらでもあるのにと頭の整理が追いつかない。


確かに、なにも考えてない人かもしれないなあとその時ふと思ったけど。

そうとうな鈍感力の持ち主かただの天然なのかさっぱり分からない、


まぁ、基本的に仕事での絡みはないのでもともと執務室内では話すことはなかった。

だから、避ける必要もないししつこく迫るつもりもないので、その後は暫くするとなにもなかったかのように元に戻っていった。


エレベーターで一緒になると二人で廊下を並んで

「最近、髪伸びたよねー」とか

「原色の服が似合うよね」と声を掛ける。


涼葉に似ていた写真があったせいか、時々ついつい涼葉に話しかけるようにしてしまう。

涼葉は髪型変えた時とか、服装についてなにか発しないとすぐいじけたり、「ダメなの?」とか言って拗ねてくる。そんなところが可愛いのだけど、それでついつい無意識で河内さんにも同じように接してしまう。


時々言ってから、『変なこと言ってくるから気持ち悪』と思われちゃってないか心配になったりするけれど、天然の鈍感力なのか自然に河内さんも普通にそれを返してくれる。それとも、そう思っていたのもこちらの勘違いかもしれないけれど。


河内さんは同じ部の2課の洞本さんと仲が良いのでいつもお昼は一緒なんだけど、洞本さんがお昼当番の時は一人でお弁当を買いに行っている。


それを見かけた時に「300円でお昼ご飯作るよ」と言うと

「ただにしてよ」

「ホントに作って持っていくよ」

なんて会話をしていた。


まぁ、前回のLINEみたいにならないようにあくまで表面的な言葉のやりとりであって、ただの同僚としての言葉として。


そして2019年3月

涼葉に異変がありました。

涼葉はアレルギー体質もあるのかキツい花粉症持ちで春になると体調が悪くなることが恒例行事だった。

それでも、この年は特に酷くて、精神的にも落ち込むことがあったようで連絡が無くなってしまいました。

まぁ、三日ぐらい連絡がなくなることは今までもよくあったけど・・・


一週間と今までにない時が経ち『もしかして、別れようとしてる?』みたいに感じたけど、身体が弱いこともあり家族の誰かが付き添っているかもしれないと思うとなかなかLINEは出来ず、いつものように交流サイトでの連絡を待っていました。


ところが、いつもより連絡が来ない日が続きもうダメかもしれないと思いかなり気持ちが落ち込んでいく。いつかはこうなることは分かっていたし覚悟もしていたつもりだけど、どうしても心が付いていかない。

涼葉は僕のことを『私の主治医』とか『私の恩人』と言ってくれていたけど、こちらもいつの間にか涼葉依存症になっていたかのようだった。


まるで違法ドラッグに手を出しているかのように道徳的なモラルが決壊していく。

ついに耐え切れなくなって、大人の合コンに行き仲良くしてくれる人も出来た。

もっとも、それはお互いその場限りの仲と割り切っての。

たまに週刊誌とかに昼顔主婦と出会うにはみたいな記事が出るけど、やはりその世界は実在している。


そんな2019年のホワイトデーの少し前。

名古屋の矢場町にある「appleストア」に行く用事があり、帰りに名古屋三越の別館であるラシックに立ち寄った。

そう言えば、台湾のかき氷の有名店のアイスモンスターがラシックに出来ていたことを思い出したので。



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