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風の隣人  作者: 馬込冷静
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幕間2 風環総合アカデミー

潮見丘市の海沿いに広がる丘陵地帯。 そこに風環(ふうかん)総合アカデミーはある。


走者族と人間がともに学ぶ約千八百人規模の総合教育機関だ。


広い敷地には普通教室だけでなく、風環中央競技場をはじめとする競技施設、複数の練習コース、トレーニング施設、医療・コンディショニング施設などが整備されている。


この学園が目指しているのは単に速く走れる選手を育てることではない。


走者族にとって走ることは競技であると同時に自分自身を知るための行為でもある。


だからこそ学園では一人ひとりの身体能力や個性を見極め、それぞれが自分に合った走り方を見つけることを大切にしている。


授業では国語や数学、理科、社会といった基礎科目に加え、走技学、競技理論、身体管理、スポーツ倫理、チームワーク、進路教育なども学ぶ。


競技で勝つことだけを目的にするのではなく、自分の身体を理解し、限界を知り、他者と関わりながら成長していく。


そして卒業後には競技を続ける者もいれば、指導者、医療関係者、研究者、一般企業など、それぞれ異なる道へ進んでいく。


人間の生徒も在籍しており、走者族と人間が同じ環境で学び、互いの違いを知りながら学園生活を送っている。


青葉寮と白砂寮には多くの生徒が暮らし、食堂やカフェ、トレーニング施設、医療施設、ラウンジ、学習スペースなども整えられている。


ここでは競技者としての成長だけでなく一人の人間としての成長も求められる。


だから、この学園での「走り」は、単なる勝負では終わらない。


自分の可能性を試すこと。


自分だけの走りを探すこと。


仲間と競い、ときには支え合いながら、まだ知らない自分に出会うこと。


風環総合アカデミーはそんな生徒たちのための場所だった。


そしてその中には。


まだ自分自身の「走り」を知らない者もいる。


その可能性を見つける者もいる。


その二人が出会う場所もまたこの学園だった。

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