009⚫️14万8000リーブの旅
「司令、どういうことですか!」
詰め寄る私に、司令はなだめるように言う。
「マチルダ、君と君のクルーたちはすばらしい。だから、だ。敵の哨戒とその撃滅の任を降りてもらうのだ。新しい船を用意した。来たまえ。」
新しい船?新しい任務か?!ドックへ行くのか。
なんだ、この巨大艦は?!
「驚いただろう。我々のものより、ひとまわり大きい。長らく眠っていた艦だ。何世紀も前のものだ。」
それのどこが‘新しい’艦だというのだ。
「そう怒るな。こいつは、あのヒロ・エンユウジ博士が開発したものだ。」
ヒロ・エンユウジ・・・あの星間航法がまだ我らの手にあった時代の天才か!
「君も歴史の授業で習っただろう?大戦が始まるより遥か昔、彼女がその理論で夢として作った伝説の潜水艦だ。」
ということは、星間航法の理論を活かして建造された、ということか。
「既に内部は軍用に改装してある。こいつは酸に強い。衝撃にも強い。何でできているか、今の我々の科学力では解明できん。バッテリーも考えられない大容量だ。まっ、艦のメンテナンスは、いろいろと欠かせんがな。」
しかし、この巨大な艦で何をしろというのだ?
「君と君のクルーたちには、’14万8000リーブ’離れたマゼラン海域に行ってもらう。ああ、’リーブ’というのは、当時のこの惑星の方言単位だ。我々の単位では、ちょうど赤道半周分になる。」
そこに行く?何をするのだ?
「その海域にイスカンダル島がある。伝説の縮退炉が眠っている。」
縮退炉?星間航行時の動力源の一つといわれる、あの縮退炉か?
「地下居住区拡充工事の掘削中に、この艦が発見された。同時に、別の記憶媒体から古い文献が出てきてな。どうやら、その縮退炉でご先祖’様’たちは、この惑星の酸性化を解決する一歩手前まで行っていたようだ。」
しかし、それは成功しなかったということではないか?
「そうだ、スイッチを押す直前、なぜかプロジェクトは中断されている。だが・・・システムは生きているかもしれん。このまま化石燃料を燃やし続ければ、このまま大戦を継続すれば、遅かれ早かれ、人類は滅亡する。」
では、なぜ休戦できんのだ!
もう、私たちは、随分と暴れたぞ。死線をくぐり、無数の敵艦を葬ってきた。
「ふん、納得できんような顔だな。文句は政治屋どもに言ってやれ。わたしは言わんぞ。」
くっ、心を読まれているのか?
「ずばりだろ?君は感情が顔に出るぞ。部下には理解しやすいのだろうな・・・。君が自分よりクルーのことを優先している、というのが丸わかりだからな。」
このタヌキ親父が・・・いかん、表情に出るのか、私は。
「発令する!マチルダ・ノア中佐とそのクルーは、マゼラン海域のイスカンダル島にゆけ!そこでプラネット・クリーナーXYZを起動させよ!出発はマルハチ・サンマル時だ。この潜水艦’ナガト!を託す!」
ナガト〜???




