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「では、魔力を注入します」
そう言うとノルンは、魔法陣の上に手のひらをのせた。途端にこちらの魔法陣から光の柱が立ち上ぼる。
「おそるべき、魔力だ、満たされる」
「あなたの魔術系統にチャンネルを合わせて送り込んでいます。苦痛はないですね」
「ああ、ない」
光の柱が消えると、ノルンの指示で、ブランは再びブン・ラッハを首にかけた。
「なかなか見事な芸当だね」
「ありがとうございます」
「魔力をケチったりしてないだろうねえ」
「まさか。しかし彼は自力で魔力を回復させることはできませんから、今後は必要に応じてアリッサが注いでやってください」
「わかったよ」
「今日のところは、わたしが容量ギリギリまで魔力を入れたので、今夜の戦いには何の支障もないと思いますよ」
「今夜ですと?」
スナイダーがノルンの言葉を聞きとがめる。
「では、やはりノルン殿も、闇魔術師めの襲撃は今夜とお考えか」
「わたしの考えというよりも、その闇魔術師の気の流れを読んだ結果です。襲撃は今夜、日付が変わる時刻とみてまず間違いありません」
「そうか…よくもまあ立て続けに来てくれるものだ」
ウォルターが軽くため息をもらす。
「それもやつの狙いなのさ、あたし達をじりじりと消耗させるためのな」
アリッサの言うとおり、彼女自身も、別室で休んでいるシスター・サリサも、連日の戦いで精神的には相当きつくなってきているはずだ。
「ま、逆に言えば、この魔道大公殿の助力は、やつにとっちゃ想定外なわけだ。おかげで裏がかけそうだよ」
アリッサは、すでに今夜の戦いの算段がついたようで、何やら自信ありげな様子である。
ブランはふと窓の外に目をやった。すでに日は完全に沈み、空には不気味な色の月がぽっかりと浮かんでいた。




