91
「あれは、我が国が管理している『二十四神宝』のひとつ、『集魔鏡』なのです」
ノルンによると『二十四神宝』とは、ドルクロスが国家として管理している文字通り二十四の呪的な武器や道具のことらしい。これらはすべて、古代の神々によってつくられたロストテクノロジーの産物で、そのひとつひとつには計り知れない能力と価値があるのだという。
四年前、それらの秘宝のうちいくつかが、何者かによって盗み出されるという事件があったらしい。当然ドルクロスとしては、相当な数の魔道士たちを各地に派遣して、その追跡にあたらせていたのだが、一向に手がかりはつかめなかったようだ。
「ダラスは元々その『集魔鏡』の探索をしていたのかい?」
「はい。あの者はもともと、神宝探索のため北方に派遣され、各地を訪ね歩いていたのです。ウォルター様の要請があった時、ちょうどフィンに滞在していたのがダラスだったのです」
「うむ、そうだったのか」
ウォルターが髭をなでながらつぶやく。
「ダラスを一時的に神宝探索の任から解き、今回の一件にあたらせたのですが…皮肉なことにまさにこの件こそが神宝に直接つながっていたのです」
「なるほど。今思えば、ダラスも途中から、この事件に神宝がからんでいると気づき、あせっていたんだろうねえ」
ブランは、ワイバーンゾンビ襲撃の夜、ダラスが他の者の到着を待たずに一人先に廃倉庫へ行ってしまったことを思い出した。
「ええ。確かにダラスの最後の報告には、神宝の重要な手がかりが見つかった…とありました」




