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「そうしましたところ、さっそくウォルター先生が動いてくださり、各地の有能な魔術師を集める手はずになったのです」


どうやら、ウォルターは、息子が相当かわいいらしい。もしくは、その将来に期待をかけているのだろうか。ブランはふと、キリー村で岩の中にこもっていた青年のことを思い出した。


「そうかい、つまりは、あたしの他にもあちこち声をかけてるってわけだね」


「え、ええ」


ハートストンは、またしても動揺して汗を拭く。ブランもてっきり「あたし一人じゃ不満ってことかい」とでも怒り出しそうなアリッサが、むしろ楽しそうにうなずいている姿に面食らっていた。どうやらライバルがいるほうが燃えるようだ。


「それでは、協力をお引き受けいただくという事でよろしいですね」


眉ひとつ動かさずヒルダが問うと


「ああ、いいよ」


アリッサは即答した。ハートストンがホッと胸をなでおろす。


「それでは、明日の正午に議員会館にてウォルター先生と直接お会いいただく形になります。介護士の方もご同行よろしくお願いいたします」


「えええっ!!!」


ここへ来ていきなり自分に話がふられたので、ブランは仰天して声をあげる。


「先ほど、ツールース施設長から、担当介護士であるブランさんの同行について要請を受けました。特に問題ないと思いますので、私の一存で許可を出させていただきました」


「い、いやあの…ちょっと、それは」


先ほどのハートストンばりに、ブランはしどろもどろになる。平凡な一市民が、いきなり明日、この国で有数の政治家の前に出ることになったのだから、それも仕方ないとは思えたが。ブランは助けを求めるようにアリッサを見る。しかし、彼女は知らん顔を決めこんでいるようだ。


「それでは、失礼させていただきます」


ヒルダが、無駄のない動きで立ち上がり、部屋から退出する。その後をハートストンが、無駄の多い動きであわてて追いかける。二人が出て行く後ろ姿を、口をパクパクさせて見送るブランであった。


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