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「ブラン、あんたツールースにハメられたね」
ドアの方を向いて立ち尽くしているブランの背中にアリッサの声がかかる。
「え…え?……………あ、そうか!」
ツールースは、アリッサの魔法使いとしての活動をあまりよく思っていない。とはいえ、さすがに政府関係者からの依頼を断ることはできない。
そこで、外で彼女が暴走して、施設の評判を落とさないよう、アリッサの監視役をブランに押しつけたのだ。アリッサが、高齢でこそあれ身体的には全く健康であることを考えれば、これは、明らかに介護士の仕事を逸脱した暴挙といえるだろう。本来ならば、施設長であるツールースが同行するのが筋というものだ。
「議員会館……って、どんな格好していけばいいんですかね?」
ブランは、情けない声でアリッサに聞く。
「そんなことあたしが知るかい」
というのがアリッサのあたたかい返事であった。
とはいえ、ツールースの思惑は別として、ブランは、アリッサに同行できること自体は、よかったのではないかと思い始めていた。
そもそも、複数の担当を持つ他の介護士と違って、担当がアリッサ一人しかいない新人のブランにとっては、彼女がいなければ仕事に来る「はり」がなくなってしまう。
そしてなにより、今一番アリッサとよい関係にあり、彼女と心をくだいた話ができるのは自分であるという自負もあった。それゆえ、今回は自分こそが適任であるという気にもなってきていた。
「それじゃ、明日よろしくお願いしますね」
「ああ」
ブランは、とりあえずツールースに一言文句を言うため、アリッサの居室を後にした。




