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「ノルン殿、お初にお目にかかる」
スナイダーはノルンをキッと睨みつける。中年貴族的な容姿の彼だが、その心根はやはり武官であり、なかなかの迫力だ。
「お初にお目にかかります。フィン国護法騎士団長、ウォルフ・スナイダー殿」
フルネームで呼ばれたスナイダーは一瞬顔をこわばらせたが、臆することなく先を続ける。
「ノルン殿、わたしは魔道の事などわからぬゆえ、差し出た真似をするつもりはなかったのだが、どうも今の話を聞いていると、ノルン殿は他国のしかも身分高き大公でありながら、我々の会話をひそかに聞き、監視をしていたように思われるが如何か?」
スナイダーの鋭い指摘に、ノルンはあくまでも穏やかに答える。
「確かにもっともなご懸念だと思います」
ウォルターとアリッサは黙って二人のやりとりを見ている。
ハートストンは、スナイダーを止めたい様子だったが、それをすることもできぬようで、ひたすら首を振り、両者を交互に見ていた。
「目に見えぬ存在に監視されるなど、さぞかし不快でもあれば、国を守る立場の方としては、受け入れられぬものと思われます。しかしながら、皆さまが営みを行う現世とは別の軸で、魔法界における法や掟が存在することもご理解いただきたいのです」
ジジジジ…
時おりノルンの映像が乱れるのは、はるか遠いドルクロスから魔道を送っているためだろうか。
「わたしたちは、決していたずらに他国の内政に干渉をするつもりはありません。むしろ、そのように現世を操作し楽しむことは、高位の魔道士として恥ずべきことと考えております」
ノルンの声は流れるように室内に響く。




