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「しかし、このままそのレイロックとやらを放置すれば、必ず人心を惑わし、国家を害し続けるだろう。それは魔法に疎い私にも想像に容易いことだ」
ウォルターの言葉にブランは大きくうなずいた。キリー村での事件や今回の一件を通してブランは、闇の力というものが、いかにたやすく普通の人の心に入り込み、喰い荒らすものなのかを実感していた。誰もがキリー村のあの青年やヒルダのようになる可能性があるのだ。そして、たった一人の心の闇は、時として村ひとつ、国家ひとつを喰い荒らしてしまうのだと。
「よって、私が力を貸せる範囲であれば、護法騎士団であれヒーリング部隊であれ自由に使っていただき、レイロックとの戦いに備えてほしいと思う」
それを聞き、ブランはほっと一安心したが、アリッサは、はなからウォルターの腹づもりなどわかっていたようで
「そうかい。すまないねえ」
と言い、ニヤリと笑った。そして、咳払いをひとつすると、部屋の天井を見上げ、いきなり大声を出した。
「ああ、困った困った!!」
。その場にいた一同は驚いて彼女を見た。
「あたしにも、いくつか方策があるにはあるんだが、いかんせん手札が足らないんだよ。困った困った!!」
彼女は、まるで天井にいる何者かに声をかけるように、わざとらしく声をあげ続ける。
「高いとこから覗いてばっかいないで、ちったあ協力してもいいだろうに!!」
「アリッサ殿、それは一体…」
困惑顔のスナイダーが問いかけた、その時だった。室内に異変が起こったのだ!!




