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ボォン、ボォン…
柱時計が不気味に鳴り響く…
その薄暗い部屋は、一見すると全く人がいないように思われた。
吊るされたランプが弱い光を放っているものの、すべての窓とカーテンは閉じられ、ご丁寧にその上に暗幕まではりつけられており、外の様子を伺い知ることはできない。
部屋の中は、中央に寝台があり、その側には揺り椅子が二つある。壁際にはいくつかの小さな棚が置かれており、数多くの肖像画が壁にかかっていた。
人がいないように思われた室内だったが、実のところそこには二人の人間がいた。
一人は、揺り椅子にいるようだったが、そこにうずくまり、頭からすっぽりと毛布をかぶっているため、それが誰なのか判別することはできない。時折、毛布の下から泣き声とも笑い話ともつかないうめきが聞こえてきたが、その声にはうっすらと狂気の響きが混じり込んでいた。
寝台には一人の青年が寝かされていた。茶色いサラサラとした髪のなかなかに美しい容貌の持ち主である。
不自然なことに、その青年は、顔色や肌の様子はきわめて健康的な人のそれと同じであるのに、全く呼吸をしている様子がなかった。呼吸だけではなく、その青年からはまったく生命ある活動というものが失われているように見受けられた。少しでも魔力のあるものであれば、青年の眠る寝台の四つ角には様々な護符がはりつけられ、寝台全体が青白い光に包まれている事に気づいたであろう。
部屋を埋め尽くすようにはられた大小さまざまな肖像画たち…
それらに描かれているのは、すべて寝台に寝かされている青年の顔であった!!
その時、部屋の入り口の扉が激しく開け放たれた。




