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ブン・ラッハのその表現は、単純なだけ逆に不気味さが引き立てられていた。
「ふむぅ、片方は間違いなく闇魔術師だとして…」
アリッサが誰に言うとでもなくつぶやく。ブン・ラッハの話によるとその「生き物」は、身の丈がブン・ラッハの二倍はあり、全身を筋肉の鎧におおわれた、まるで巨人族のようだったらしい。そうでありながら、肌は土気色で、目には生気がまったくなく、例えるなら、常に腐臭を放っているようなおぞましい印象であったという。
「他に、何か特徴はありませんの?」
シスター・サリサが質問する。
「赤い、鏡」
「鏡?」
その怪物の胸部には赤い六角形の鏡が直接肌に埋め込まれていたというのだ。
「おそらく」
アリッサがあごに手をあてながら自分の推測を話し出す。
「その赤い鏡ってのは、魔力を吸収する呪的な道具だね。でかぶつはきっと闇魔術でつくられた不死の巨人ってとこだろう。つまり敵さんの手口ってのは、まず力押しの不死の怪物で魔術師を殺し、そのままそいつに魔力の回収までさせちまうって寸法なのさ。そうすりゃ証拠となる魔力痕もさっぱり消えちまう。ガラムやダラスはこの手口でやられたってわけさ」
「し、しかし、レイモンド様が誘拐されたときは、確かに魔力痕が残っていましたよ」
ハートストンが疑問を投げかける。
「ああ、確かにそうだ。その時は、傭兵相手だから魔力を消すまでもないと思ったのか、何か手こずる問題でもあったのか、あるいは―」
「あるいは?」
アリッサは、これこそ自分が確信している答えだというようにニヤッと笑った。
「わざと魔力痕を残し、魔法がらみの事件だと印象づけたかったか…だ」




