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「ブラン」
ブランの体は、まだ肩のあたりまでしか沈んでいなかった。今の位置から見上げると、頭上から話しかけるブン・ラッハはまるで巨人のようだ。
「地中では、流れにまかせろ。余計なこと、考えるな」
「わ、わかりました」
「あと」
「はい?」
「アリッサ、大切にしろ」
ブン・ラッハの声は、いつもどおり淡々としていたが、どこかその中にやさしさが感じられた。
「さっきは、手札ない、言ってた。だが、ブランだけは、助けるつもり、だった、思う」
「は、はい…」
先ほど、覚悟を決められるような気がしたのは、実はどこかでアリッサが助けてくれることを信じていたからかもしれない、とブランは思った。
「では、さらばだ」
「ブン・ラッハ!!!!」
ブランがそう叫んだ直後、彼の目の前は真っ暗になった。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
地鳴りのような濁流のような音が耳の中に響きわたる。
ブランは真っ暗な空間の中に、立つわけでも、横たわるわけでもなく「ただよって」いた。息苦しくはあったが、不思議と呼吸はできるようだ。
巨大なエネルギーの流れが彼の体に激しくぶつかってくる。ブランは、ブン・ラッハの言葉どおり、力の流れに身をまかせることにした。すると彼の体は、激流を流れる木の葉のように、ものすごい勢いでいずこかへと流されはじめた。徐々に体の感覚がなくなっていき、いつしかブランは意識を失っていた。
チュンチュンチュンチュン…
遠くで鳥のさえずりが聞こえる。意識を取り戻したブランは、自分が白いベッドに寝かされていることに気づいた。
「まあまあ、よかった!!ようやく目を覚まされましたのね!!」
室内に、朗らかな女性の声が響き渡る。




