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「あっ、足が…!!」
ブランは足元を見て、驚愕のあまり口をパクパクとさせる。自分とアリッサの周囲だけ、地面が沼のようになり、そこから体がズブズブと地中へ沈んでいるのだ。
「大地の精霊が、お前たち、安全なとこまで、運ぶ」
ブン・ラッハが、再び風の制御をするため立ち上がりながら話す。しかし、それだけの説明では到底ブランの動揺をおさめることはできなかった。
「ちょっ…土の中って!!息はどうするんですか?」
「大丈夫だ。大地と同化しろ」
「いやいや、簡単に言いますけど、同化なんてそんなー」
「黙りな!!」
アリッサに一喝され、ブランは黙りこむ。すでに彼の体は太ももの辺り、アリッサに至っては腰まで地中に沈み見えなくなっている。
「ブン・ラッハ、この場に残るつもりかい?」
「え?」
それを聞きブランが驚きの声をあげる。確かに、ブン・ラッハの体は、いっこうに土に沈む気配を見せていない。
「ああ」
ブン・ラッハは静かに答える。
「この術、沈むまで、時間かかる。それまで、風の護り、必要」
「そんな!!ブン・ラッハさん…」
ブランは、自分だけがじたばた騒いでいたことを激しく後悔した。もっとも、彼の年齢や経験を考えれば仕方のないことではあるが。
「アリッサ」
ブン・ラッハはすでに肩まで地面につかっているアリッサに声をかけた。
「ブン・ラッハの『魂の管理者』、なってくれるな」
「ああ、これだけ世話になっちまったんだ。管理人でも管理者でもなってやるよ」
すでに地面から突き出た生首のようなアリッサが答える。彼女には『魂の管理者』が何か、察しがついてるようだ。
「ありがたい。では、ひとまずさらばだ」
ブン・ラッハが礼を言うと、アリッサは目を伏せて一言
「………すまん」
と言い、完全に地中へと消えていった。




