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ブン・ラッハが風の出力を上げたようだ。三人を取り巻く風の勢いが強くなった。ひとまずゾンビ達は、こちらに近づくのをためらっている。
「風、強くしたが、精霊の力、長くはもたない」
ブン・ラッハが淡々と伝える。出力を上げた分、消耗も激しいようだ。
「アリッサさん、なぜ竜巻を起こせないんですか、もう魔力が尽きてしまったとか?」
「いや、しぼりだせば一回くらいならなんとか出せる。だがね、意味がないんだよ」
「意味?」
アリッサは倉庫の天井を見上げる。
「今この建物は、まるごとすっぽり強力な闇の結界に包まれちまってるんだ」
「え?」
ブランは、一瞬アリッサの言葉の意味がよくつかめなかった。
「あたしも迂闊だった。さっきの玉が投げ込まれた時、煙の方にばかり気がいっちまってて、結界がはられたことに気づかなかったんだ」
「え?つまり、この倉庫は全部、敵の結界の中ってことですか!?」
「ああ、おそらく術者は建物の上空にいるね。結界を結びながらあたしらをあざ笑ってんだろう」
「そんな…」
思わずブランは上を振りあおいだが、そこにあるのは薄暗い天井ばかりだ。
「あたしが竜巻を起こしたところで、結界の壁にぶち当たり、建物内の空気がめちゃくちゃにかき混ぜられるだけさ。毒ガスを取り除くことはできない」
「…………」
アリッサは、無駄にとりつくろったり、希望を持たせるような物言いはしない。彼女ができないと言った以上、この戦いは「詰み」になってしまったのだろう。
キリー村での経験があるからか、ブランは不思議とうろたえる気持ちにはならなかった。ただ、漠然と「覚悟を決める時なのかな」という思いが頭をよぎったのみであった。
「アリッサ」
その時、風の幕をはることに集中していたブン・ラッハが、重い口をひらいた。




