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廃倉庫だけあって中はガランとしており、天井も高いため、倉庫内は外から見た時以上に広く感じられた。下はむき出しの地面になっており、所々にいくつか木箱が置かれていたが、それらを見るだけでは、かつてここが何を貯蔵するための倉庫であったのかうかがい知ることはできなかった。
アリッサは、ブン・ラッハと目配せをすると、ブランの方を向き珍しく真顔で
「ブラン。あたしたちの側から離れるんじゃないよ」
と言い、あたりを油断なく見回しながら進み始めた。そのためブランも彼女の邪魔にならないよう、後ろにそっとついていくことにした。その後ろからこれまた無言のブン・ラッハが続いていく。
建物の中央あたりまで来ると、アリッサは足を止めた。
「ここいらだね」
そう言うと、周りの地面をざっと見渡す。
「もう消されてるが、召喚…というより転送術が使われた痕跡があるね」
「転送?」
聞き慣れない言葉なのでブランが問い返す。
「ああ、つまりだ…例えば邪悪な魔術師がいて、そいつが自分のアジトにいる魔物を遠く離れた別の場所に送り込みたかったとするだろ。そんな時、アジトと目的地二カ所にそれぞれに特殊な魔法陣をかいて、片方の上に魔物をのっけとくのさ。そうすりゃあとは、魔力を流してそれを発動させりゃ、一瞬にして魔物を目的地へ送りこめるって寸法さ」
「そんな便利なことができるんですか」
ブランが目をまるくして感心する。
「まあ、誰にでもできるってわけじゃない。相当強い魔力を持ってるような奴でないとな」
「アリッサ」
そこまで、ずっと口をつぐんでいたブン・ラッハが急に声をあげたのでブランは思わず悲鳴をあげそうになった。




