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アリッサの呪文が完成し、花壇の周り一帯に巨大な炎の渦が立ちのぼる。
「キシャァァ!!」
少し早く降下していたワイバーンゾンビの一体は、その火柱の炎にまともにのまれ、黒い影となった。もう一体は、かろうじて直撃は避けたが、炎を交わしたときに片方の羽根を焼かれてしまった。
「ギシャァ!!グキィィ!!」
残されたワイバーンは、フラフラと不安定な飛び方をしながら、なんとか上空へ逃れようとしている。そこへ…
「打てぇぇ!!」
スナイダー団長の号令の元、弓を構えた一隊が、魔物に向けて火矢を放つ。
ドスドスドスドスドス
敵がかなり低空にいたため、火矢はことごとく命中し、ワイバーンゾンビは、ブスブスと黒い煙をあげ、体の数カ所を燃え上がらせながら、ついには中庭に墜落した。同時に花壇の方も炎がおさまり、真っ黒に焼け焦げた巨大な塊が、花壇の上におおいかぶさっていた。それぞれの周りを火矢を構えた騎士団員たちが取り囲む。
「ふぅ、ここはもう大丈夫だろう」
そういって袖で額の汗を拭うと、アリッサは玄関の方へ早足に歩きだした。建物の中を通り、裏門にいるブン・ラッハの応援に向かうのだろう。ブランもあわてて後をついていく。
「アリッサさん」
アリッサの後を追いかけながらブランが声をかける。
「なんだい?」
足を止めずにアリッサが返事をする。
「さっきの粉は何だったんですか?」
「ああ…ゾンビパウダーさ」
アリッサの後ろを追っていたため彼女の表情は見えなかったが、ブランは彼女が不敵に微笑んでいる事を確信できた。




