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「また来るぞ!!」
騎士の一人が悲鳴のような声をあげる。フィン共和国は、魔物の数も少なく、ここ十数年間戦乱もなかったため、若い騎士たちは実戦経験が極めて乏しい。ましてや、空中から襲いかかってくる翼竜などというものは、完全に想定外の敵といえるだろう。素人のブランから見ても、彼らがうろたえているのは明らかだった。
「うわぁ!!」
ワイバーンは、再び一人の若い騎士めがけて急降下して来た。若者は剣をかまえるが、体がガタガタとふるえてしまっている。
「おのれっ!!」
さすがに団長らしい胆力を見せ、スナイダーが持っていた長剣を手槍のようにワイバーンに向かって投げつけた。
「グキィィ!!!」
長剣は見事ワイバーンの喉に深く突き刺さった。それにより体制を崩した魔物は、騎士を襲うのをあきらめ再び空へと舞い上がる。
「アリッサ」
気づくと、ブン・ラッハがアリッサの側に来ていた。
「あいつら、おかしい」
彼は上空に目をやっている。
「やはり…あんたもそう思うかい」
「ああ、生命の精霊の力、感じない」
そのやりとりで確信を得たのか、アリッサは騎士たちの方を向き直ると、びっくりするほど大きな声で呼びかけた。
「いいかい、よくお聞き!!」
騎士たちがこちらを振り返る。
「あいつらは、ワイバーンじゃない!!」
「何ですと!?」
スナイダーがアリッサの近くに駆け寄る。
「私が見るかぎり、あやつらはどうみてもワイバーンですぞ!!」
この団長は、かつてワイバーンを見たことがあるのかもしれない、確信的な口調でアリッサにつめよる。
「いいや」
アリッサは空の魔物達に視線を送る。
「ありゃあ……アンデッドだよ」




